ローズマリーと聞くと、アロマより料理に使うハーブとして思いつく方も多いと感じます。肉料理の臭みを消し、食欲をそそる香りへと導く効果から分かるように、甘さと共にハーブ特有の強めの香りを持つシソ科の植物です。
アロマとして用いられるローズマリーは「ケモタイプ」と呼ばれ、育った場所の環境や土壌によって、含まれる成分が大きく異なるとして知られます。
また昨今では集中力を高め、記憶を補強する香りとしても注目を集めているアロマです。本記事では、そんなローズマリーの基本情報から効果効能、効率的な摂取方法まで詳しくご紹介いたします。
- スキンケア・ヘアケアにも役立つ抗酸化作用
- 抗菌・抗ウイルス効果
ローズマリーの香りの特徴
ローズマリーの香りの特徴といえば、まさに「若草」と呼ばれるにふさわしい、青々とした香りが大きな特徴です。ただ上記までで軽く触れたように、ローズマリーはケモタイプのハーブなので、収穫される場所や標高によっても含まれる成分の過多が異なります。
そして成分が異なるということは=香りの特徴も異なることに。代表的な産地とそれぞれのローズマリーの香りの特徴は以下になります。
ローズマリー・シネオール
最も一般的に出回っている種類なので、多くの方がローズマリーとして認識している香りになるでしょう。
ローズマリーらしい若葉の香りとともに、わずかな甘さやシトラス・ウッディ系のような爽やかな心地よさを感じる香りです。
ハーブらしいグリーンの香りが強いので、アロマとしては好き嫌いが分かれやすい香りともいえるでしょう。主産地はスペイン、クロアチアなどが挙げられます。
ローズマリー・カンファ―
3種類あるローズマリーの香りの中で、最も爽快感が弱い代わりに甘さを感じやすい、穏やかに香るアロマです。わずかに覚える渋みが、穏やかながら深みを感じさせる香りといえるでしょう。
スキンケア製品に含まれることが多いので、ローズマリー・ベルベノン単体の香りを把握している方は少ないかもしれません。生産国はほぼフランスです。
ローズマリー・ベルベノン
3種のローズマリーの中でも、含まれる「カンファ―」と呼ばれる成分の割合が高い点が大きな特徴といえるでしょう。カンファ―とは日本語にすると「樟脳」、古くから衣類の虫食いを防ぐために使われていた香りと同じです。
このことからわかるように、ローズマリー・カンファ―は一種独特の香りを持っています。ただ一定以上の年齢になった方からすれば、郷愁を誘う香りになるかもしれません。生産国の多くはスペインです。
香りの系統
ローズマリーの香りの系統は、ハーブ系です。ローズマリーの香りの特徴である、青々としたグリーンの香りや目が覚めるようなシャープな香りが特徴といえるでしょう。
ハーブ系のアロマは、主張が強いので他のアロマとブレンドして使う方法もおすすめです。
ハーブ系のアロマであるローズマリーは、シトラス系である「レモン」やウッディ系の「ユーカリ」、フローラル系の「ラベンダー」と好相性です。ローズマリーはケモタイプがあるので、それぞれの特徴と併せてブレンドするアロマを選んでみてください。
香りの系統
ローズマリーの香りにおける主要成分は、ポリフェノールの一種である「ロスマリン酸」です。ローズマリーの香りの中でも、薬草を思わせる少し薬臭い香りに相当する成分で、高い抗酸化作用からアンチエイジングへの効果が期待できるとされます。
他にも多様な成分が含まれており、上記で触れた「シネオール」「ベルベノン」「カンファ―」もそれぞれが、芳香成分の一つです。一般的なローズマリーでは、1.8シネオールの含有量が最も多く、ローズマリーに感じる爽やかさを表す成分となっています。
ローズマリーの基本情報
学名/科名 | Rosemarinus officinalis/シソ科 |
---|---|
花言葉 | 追憶・思い出・静かな力強さ・変わらぬ愛など | 精油名 | ローズマリー |
抽出部位 | 主に先端の若葉・花 |
抽出方法 | 水蒸気蒸留法 |
香りの強さ | 強め |
ノート | トップ |
主な産地 | フランス・スペイン・クロアチア |
注意事項 | てんかん症・高血圧・授乳中の方は使用を控えてください |
ローズマリーの効果と効能
多様な成分を含むからこそ、ローズマリーには様々な効果・効能も期待できます。古くはハンガリー王妃「エリザベート」が好んで使っていたとされる「ハンガリー水」の材料の1つにもなっていました。
ここでは現在解明・研究されている、ローズマリーの効果・効能についてご紹介いたします。
集中力アップ&記憶力の強化
昨今注目を浴びているのが、ローズマリーの集中力・記憶力向上の効果です。
もともとすっきりとした刺激を持つローズマリーは、フレッシュ効果が期待されるハーブとしても有名でした。時代が進み、成分分析や実験を繰り返すことによって、実際に集中力や記憶力の向上効果が期待されると分かってきたのです。
集中力や暗記力向上については、数多くの実験が行われています。複数のアロマを用い、香り環境下で行った暗記テストでは、ローズマリーを用いた空間での正答率が高くなったという結果(※1)が報告されました。
ローズマリーとレモンをブレンドしたアロマで、短期記憶力の向上が期待できるとされる実験結果(※2)もあります。記憶力の強化が期待できる面から、アルツハイマーの症状改善・予防効果も注目されているので、これからの研究がより期待できるアロマだといえるでしょう。
抗酸化作用による美容・健康効果
ローズマリーは古くから美容、健康目的でも利用されてきたアロマです。実際、ローズマリーに含まれる「ロスマリン酸」は抗酸化成分として名高いポリフェノールの一種であり、スキンケア・ヘアケア商品に採用されることも多くなっています。
実際、複数のアロマを用いた「AGEs(1)産生抑制効果実験」では、ローズマリーを用いた際に高い抑制効果が確認(※3)されました。成分名にこそ言及されていませんが、ローズマリーにおける老化物質の抑制効果が科学的に示唆されたといえるでしょう。
(1)日本語に訳すと終末糖化産物、老化を促進する物質の一つを指す
抗菌・抗ウイルス効果
ローズマリーには高い抗菌・抗ウイルス効果もあるとされています。現在でも肉料理の臭み抜きに使われますが、元はローズマリーの抗菌作用に期待した保存方法の一つでした。古くは腸チフスの予防薬として用いられた過去も。
また昨今の研究では、ローズマリー由来の「カルノシン酸」が、新型コロナウイルスの感染・重症化を抑制できるのではないかとの可能性(※4)も示されています。豊富な成分を持つローズマリーは、これからも様々な側面から研究が進められていくでしょう。
ローズマリーの香りのおすすめの使用&摂取方法
様々な効果が期待できるローズマリーですが、香りの好き嫌いが分かれやすいアロマなので、日常に取り入れるにはコツが必要です。こちらでは、ローズマリーの香りを効率的に摂取する方法、おすすめの使用法について解説いたします。
他のアロマとブレンドして使う
何度か触れてきたように、ローズマリーは単体で利用するには少し癖のある香りです。もちろんローズマリーの香りが好みの方はそのままで利用できますが、少し苦手だと感じる場合はほかのアロマとブレンドして利用しましょう。
シトラス系やウッディ系と相性がよいので、自身の好みや香りを広げたい空間のイメージに合わせてブレンドしてみてください。ローズマリーは強い香りだからこそ、アクセントとして利用すると他にはない唯一の香りを作り出すことも可能です。
バスタイムで活用
湯船にローズマリーのアロマオイルを適量落とすだけで、香り高いアロマバスを楽しむことができます。ローズマリーは美容にも高い効果を期待できるので、簡単でありながらスペシャルなケアを行うことが可能です。スッキリとした香りで、肌や髪だけではなく気分もリフレッシュできるでしょう。
ただ、ローズマリーは刺激が強めなので、オイルを足す際には1滴から始め、肌に刺激を感じないか確認しながら試してください。また利用を控えたほうがよい方もいます。
・妊婦・授乳中の方
・乳幼児
・血圧が高い・高血圧の薬を服用中の方
・てんかん症の方
ローズマリーのアロマ、入浴共に覚醒効果があるとされるので、眠る直前の利用はおすすめできません。ゆっくりと過ごせる時間があるときに試してみてはいかがでしょうか。
アロマディフューザーを用いる
空間全体でローズマリーの香りを楽しみたい、ローズマリーに期待できる効果を実感したい場合は、アロマディフューザーの利用がおすすめです。スイッチ1つで空間中に香りを広げられるので、手軽かつ効率的な方法だといえるでしょう。
ローズマリーとほかのアロマをブレンドした香りを拡散させれば、香りによるブランディングやお客様への印象付けも可能です。アロマディフューザーには豊富な種類があり、マイコンを搭載してアロマをセットするだけで、毎日決まった時間に香りを漂わせられる商品もあります。
自宅でアロマを楽しむ、オフィスで香りの効果を期待する、香りによる印象付けなど、アロマを用いる目的によってディフューザーの機能も選んでみてください。
まとめ
- ローズマリーはケモタイプなので、産地によって香りの傾向が異なる
- ローズマリーに期待できる効果は集中力アップ・抗酸化作用・抗菌効果
- ローズマリーの活用法は、アロマバスやアロマディフューザーの利用がおすすめ
古くから薬草としても珍重されてきたローズマリーは、科学的な焦点があてられることで、より様々な場面で利用されるアロマとなっています。好き嫌いが分かれやすい香りではありますが、期待できる効果を考えれば、日常に取り入れたいと考える方も多いでしょう。
ローズマリーの効果を含みつつ、万人受けするアロマを用いたいのであれば、複数のアロマをブレンドする方法がおすすめです。ただ、アロマをブレンドする工程は、失敗・成功に限らず楽しいものですが、ビジネスで用いる場合は楽しんでばかりもいられません。
オフィスにローズマリーの香りをプラスして、業務効率向上を促進したい。香りからブランディングを試してみたい。このようにお考えの場合は、香り・消臭のプロを擁する弊社にお気軽にご相談ください。香りの効果を追求するだけではなく、思わず手に取りたくなるような魅力的な香りのプランを提案いたします。
香り環境下における学習効率に関する研究(※1)
ローズマリーカンファーとレモン(リモネン)の香りは記憶力を向上させうるか ?(※2)
精油30種の終末糖化産物(AGEs)産生抑制
(※3)
ローズマリー由来のカルノシン酸が新型コロナを抑制する可能性(※4)