雨上がりの森の中を散策するような、少し湿り気を感じる特有の香りを持つのが「パチュリ」です。高いリラックス効果があり、アロマをたしなむ方にとってはごく身近な香りといってよいでしょう。しかし、アロマや香りに詳しくない方からすれば、どのようなアロマなのか不明な点が多い植物でもあります。
そこで本記事では、とはどのような香りを持つのか、またパチュリのアロマで期待できる効果について詳しくご紹介します。香りからアプローチして、日常生活や業務の効率アップに役立てていきましょう。
- 深いリラックス効果
- 抗炎症・収斂などスキンケア効果
- 香りによる虫よけ効果
パチュリの香りの特徴
雨上がりの草原、または耕したばかりの畑のような、しっとりと湿った土のような独特の香りを持ちます。人によってはスモーキーな香り、または墨汁のような香りとも表現され、かぎ慣れてしまえばすぐに「パチュリ」だ、と気が付きやすい香りです。
アロマとして抽出されたパチュリは、比較的香りが強めなこともあり、古くから様々な用法で使われてきました。代表的な用途は「虫よけ」「部屋の匂い消し」「リラックスしたいときのルームフレグランス」など。その特有の個性を生かして、オリエンタル系の香水にアクセントとして利用されることも多くなっています。
なお、個人差により好き嫌いが大きくなりがちなパチュリですが、熟成することでムスクやローズのような甘さも出てきます。フレッシュなパチュリだけで好き嫌いを決めてしまうのはもったいないといえるでしょう。
パチュリの系統
香り、アロマの系統としては「オリエンタル系」になります。もともとインドや中国などでは漢方としても使われており、古くから親しまれてきた香りです。
特有の個性を持つパチュリは、他のアロマとブレンドして利用する方法もおすすめです。ほんの少しブレンドするだけで、エキゾチックな魅力を持つオリエンタル系の香りを楽しめます。香りが非常に強いので、ブレンドする際にはごく少量ずつ加えるよう注意が必要です。
パチュリの芳香成分
パチュリの主な芳香成分は「パチュロール」「α-ブルネセン」「α-パチュレン」などが挙げられます。パチュロールは「パチュリアルコール」とも表記され、消炎成分である「カマズレン」の前駆体なので香りの他に実質的な効果も期待できるでしょう。
また上記で紹介した芳香成分はすべて「セスキテルペン系(※)」の化合物です。セスキテルペンはテルペン系の中でも分布が広く、多くの植物から抽出される成分な上に香りや生物活性が強いことから、日常生活の中でも広く役立てられています。
※15個の炭素原子を持つテルペン類をまとめて呼ぶ際に使われる総称
パチュリの基本情報
学名/科名 | Pogostemon patchouli/シソ科 |
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花言葉 | 隠蔽(いんぺい) | 精油名 | パチュリ/パチョリ |
抽出部位 | 葉・枝 |
抽出方法 | 水蒸気蒸留法 |
香りの強さ | 強め |
ノート | ベースノート |
主な産地 | インドネシア・インド・マレーシア |
注意事項 | 妊娠初期は使用を控える |
パチュリの効果と効能
パチュリが持つ香りの特徴や基本情報を把握した後、何が気になるかといえばやはりパチュリに期待できる効果・効能でしょう。ここではパチュリに期待できる効果・効能についてご紹介します。実際に効果が実証されているものはもちろん、古くから効果があるとされてきたものまで触れていきます。
気持ちを落ち着かせる「リラックス効果」
パチュリには古くから気持ちを落ち着かせる効果があるとされています。大地を思わせる深くどっしりとした香りが気持ちの高ぶりを抑え、嫌な考えやネガティブな思いから解き放ってくれるのです。不安な気持ちが晴れないときや、試験前や大切なプレゼン前で気持ちが落ち着かないときなどに有効といえるでしょう。
スキンケアにも有用「抗炎症作用」
スキンケアにも有効とされており、高い収斂効果や消炎効果が期待できます。実際に炎症を起こしたモデル細胞に希釈したパチュリ精油を与えることで、TARC産生阻害(※)が有意になることが示されました(※1)。
肌に起こった炎症を抑える効果が期待できるので、パチュリ成分が含まれたスキンケア製品などでも効果を実感できるでしょう。またうっ血除去、抗真菌作用、消炎作用、肌の柔軟性を上げる作用など肌にとってうれしい効果が多いので、揺らぎがちな肌を持っている方には頼もしい味方になってくれるかもしれません。
(※)TARCは白血球遊走作用を持つケモカインの一種、アレルギー反応や炎症を促進させる物質なので、TARC産生阻害とはその産生を妨害する効果を指す
体・環境にやさしい「虫よけ効果」
パチュリの芳香成分には、虫が嫌うとされる芳香成分も含まれています。したがって、香りをまとったりハンカチにアロマを含ませたりすることで、様々な場面において虫よけ効果が期待できるでしょう。
古くから虫よけ効果があるとされている植物であり、実際に古代シルクロードの道中ではカーペットなど布物を守るためにパチュリの葉が使われていました。虫よけにもできるだけ薬剤は使いたくないと考える方におすすめの香りです
パチュリの香りのおすすめの使用&摂取方法
日常で利用しやすいパチュリの効果を紹介してきました。実際に試してみたい効果があった場合、次に気になるのはどのようにして摂取すればよいのかではないでしょうか。ここでは、パチュリの香りを効果的に摂取する方法についてご紹介します。
他のアロマとブレンドして使う
独特な香りを持つパチュリは、単体で利用するには好き嫌いが別れがちな香りでもあります。しかし効果効能を考えると、ぜひ様々な場面で利用したいと考える方も多いでしょう。そこでおすすめになるのが、他のアロマとブレンドして利用する方法です。
もちろん単体でも好みが合えばよい香りだと感じられますが、パチュリはアクセントとしても優秀な香りです。併せる香りの幅も広いので、自身の好みに合わせて選んでみましょう。一般的に好まれるブレンドはシトラス系(レモン・ベルガモット・グレープフルーツ)、フローラル系(ラベンダー・ローズ)、オリエンタル系(イランイラン)などが挙げられます。
それぞれの香りに深みを持たせ、少しオリエンタルな印象をまとわせてくれるでしょう。
ボディクリーム・オイルに混ぜ込む
パチュリの成分はスキンケアとの相性がとてもよいので、ボディケアをする際のクリームやオイルにアロマをブレンドする方法もおすすめです。パチュリには上記で紹介した抗炎症作用の他に、肌を柔らかくする効果もあるとされています。
寒い季節などに水分を奪われ、カチカチになってしまった手肌などに有用です。ブレンドする際の目安は1滴から。刺激がない精油とはいえないので、一度に多量の精油を混ぜるのは避けてください。
またパチュリに含まれているセスキテルペン系の成分は、エストロゲンと似たような作用があるとされます。妊娠初期にエストロゲンの作用が過度になると、いわゆる「つわり」が起こる可能性を高める(※2)のではないかと示唆されているので、妊娠初期の使用は避けておいた方が無難です。
アロマディフューザーでお部屋全体に
リラックスできる空間を作り出したいのであれば、パチュリとお好みのアロマをブレンドしたうえで、アロマディフューザーの利用がおすすめです。
広い空間でも簡単に香りを拡散させてくれるアロマディフューザーであれば、一般的な家庭の部屋はもちろん、オフィスやロビーのような大きな空間でも効率的に香りを拡散させてくれるでしょう。深く息を吸い込みたくなるような、癒しの空間を演出できます。
まとめ
- パチュリは墨汁や土を思わせる特有の香りだが、時間がたつほど甘く香る
- パチュリの主な芳香成分は「パチュロール」「α-ブルネセン」「α-パチュレン」など
- 期待できる効果はリラックス効果からスキンケア、虫よけ効果など様々
使い始めは独特な香りがするパチュリですが、使い込むほど熟成され、甘く官能的な香りに変化する魅力的なアロマ。古くから様々な場面で親しまれてきたように、期待できる効果の幅も非常に広くなっています。
ただ、単体のまま使うと万人受けする香りとはいえないでしょう。パチュリの真価が発揮できるのは、効果効能に合わせて他のアロマとブレンドしたときともいえます。
「豊富な効果を期待してパチュリのアロマを使いたい、しかし他にどんなアロマと組み合わせればよいのかわからない…」とお困りの際には、香りのプロである弊社にぜひお任せください。使う場所やシーン、期待する効果に合わせた香りをご提供いたします。