食卓でも有用なレモンの香りには、爽やかな香りから連想できる「リフレッシュ効果」や「集中力の維持」、また健康に作用する「免疫向上効果」があるとされています。果物の中でも利用頻度が高いことから、香り高さを実感している方も多いでしょう。
では、そんなレモンの香りを日常で活用するにはどうすればよいのでしょうか?本記事では、レモンの香りが持つ効果効能を最大限に引き出し、効率的に利用できる方法を詳しくご紹介します。
レモンの香りに期待できる効果
- 集中力低下を防ぐ効果
- リフレッシュ&リラクゼーション効果
- 免疫力向上効果
レモンの香りの特徴
香りの効果について解説する前に、まずレモンの香りそのものの情報を見ていきましょう。身近な果物だからこそ、知っているようで知らなかった面を発見できるかもしれません。
香りの系統
単体で食べることは少なくとも、飲み物やアクセントとして利用されることが多いレモン。その味わいを知っているからこそ、香りをかいだだけで思わず唾液が出るような、鮮烈な香りを思い描く方が多いと感じます。
しかしアロマ精油になったレモンは、そこまで酸っぱさを感じさせる香りではありません。
爽やかな清涼感を残しながらも、どこか甘く感じるようなマイルドで使いやすい香りです。香りの立ち方・消え方のどちらも早いので、アロマや香水をあまり使ってこなかった方でもとっつきやすい香りといえるでしょう。
主な芳香成分
レモンの香りを構成する主な成分は「リモネン」や「シトラール」と呼ばれる成分です。リモネンはモノテルペン類(※1)の一種であり、柑橘系の精油に含まれる代表的な成分。柑橘系の香りと聞いたときに誰もが思い浮かべるような、瑞々しい香りを持ちます。
ただ、柑橘系といってもそれぞれ特有の香りがあり、この香りの特徴を作っているのが、レモンの場合は微量に含まれる「シトラール」です。ネラール(※2)、およびゲラ二アール(※2)の混合物であり、レモン特有の爽やかさを演出する成分となっています。
(※1)イソプレン単位2個から成り立つC10化合物。揮発性と芳香性を持つ植物精油の一種
(※2)テルペン系アルデヒド類に分類され、分子式で表記すると同一となる一組のシス‐トランス異性体
レモンの基本情報
学科/科名 | Citrus limon / ミカン科 |
---|---|
花言葉 | 全体:誠実な愛 / 思慮分別 花:心からの思慕 / 香気 実:熱情 / 熱意 / 陽気な考え |
精油名 | レモン精油 |
抽出部位 | 果皮 |
抽出方法 | 圧搾法 / 水蒸気蒸留法 |
香りの強さ | 弱 |
ノート | トップ |
主な産地 | イタリア / スペイン / アメリカなど |
注意事項 | 光毒性 / 刺激強め |
レモンの効果と効能
では実際にレモンの香りにはどんな効果、効能が期待できるのか確認していきましょう。使い勝手がよい香りなので、ぜひ普段の生活の中や目的に合わせて利用してみてください。
集中力の低下を防ぐ効果
レモンの爽やかな香りには、集中力の低下を防ぐ効果があるとされています。どんな作業でも長時間続けていくと、集中力が途切れたり間違えが多くなったりするものです。そんなときにレモンの香りを活用することで、比較的長い時間の集中を叶えることができるでしょう。
実際に大学生を対象とした、香りありと香りなしの状態で行った実験では「香りあり」の方が有意な結果を出しています(1)。またほかの実験では、作業効率への影響こそ見られませんでしたが、作業後の疲労感や活力の低下を防ぐ効果が確認されました(2)。
リフレッシュ&リラクゼーション効果
瑞々しく爽やかな香りを持つレモンは、古くからリフレッシュのための香りとしても活用されてきました。酸味があり目が覚めるようなイメージがあるので、効果効能を知らないときから活用されている方も多いと感じます。
このリフレッシュ効果も、実験によって効果ありだと確認されています。疲労感や無気力などネガティブな感情のときから、活力があり友好的な気分のときまで、レモンの香りで総合的な気分状態の改善が見られたのです(3)。これによりリフレッシュだけではなく、リラクゼーション効果も期待できると考えられるでしょう。
疲れて元気を出したいとき、活力にあふれているときでも息切れしないためなど、様々なシーンでの活用が期待できます。ちなみに、精油の温度による効果の増減を確認した実験では、5℃以上25℃以下の温度帯で効果や評価が高まることが示されました(4)。
免疫力向上など健康への効果
レモンに含まれる香気成分であるリモネンには、免疫細胞の働きを調整し、免疫力を高める効果が期待できるとされています。実際にリンパ腫を有するマウス実験では、リモネンを与えていたマウス群に有意な結果が示唆されました(5)。
また、柑橘類に多く含まれ、レモンでも含有が確認されているクマリン類には、発がんを抑制する効果が期待されています(6)。香りを摂取することで健康面にも効果が期待できるとなれば、積極的に活用していきたくなるのではないでしょうか。
レモンの香りのおすすめの使用&摂取方法
日常から使っていきたい効果がたくさんのレモン。ではこの香りの効果をより効率的に日常に取り入れるには、どんな方法があるのでしょうか?使いやすい香りをより活用するための方法を紹介します。
食卓での利用
普段使いにピッタリな方法としては、レモン果汁を食卓で利用する方法です。ただしレモンの芳香成分はほぼ皮に含まれているので、果汁だけでは摂取量は少なくなります。したがって既製品のレモン果汁を使うのではなく、果実のレモンを皮付きのまま絞って使う方法がおすすめです。
果汁を搾った後の皮も、天日干しをすればしばらくの間は香りが楽しめるでしょう。また輸入物のレモンは皮に農薬がついていることがあるので、使用前にしっかりと洗浄してください。
おすすめの方法はアロマ&ディフューザーの利用
より手軽に、日常的に利用したい場合はアロマオイルやディフューザー、アロマスプレーを利用しましょう。気分を変えたいなど一時的な利用はアロマオイルやスプレー、空間自体に香りを演出したいならディフューザーと使い分けることも可能です。
空間一杯に爽やかなレモンの香りを満たすことで、知らず集中力を上げストレスを下げることが叶うかもしれません。また人の記憶に残りやすいのは、視覚や聴覚より嗅覚だといわれます。大切な人をお迎えするときや、お客様を迎える際にもピッタリでしょう。
ただしアロマ精油を利用する際には注意事項もあります。発がん抑制の効果が期待されている「クマリン類」には、メリット共に「光毒性」というデメリットが含まれます。精油が素肌についた状態で紫外線に当たると肌を傷めてしまうので、皮膚につかないよう気を付けて扱ってください。
まとめ
- レモンの主な香り成分は「リモネン」「シトラール」
- 香りに期待できる効果は「集中力の低下を防ぐ効果」「リフレッシュ&リラクゼーション効果」「免疫力向上効果」
- 香りの効果を実感するならアロマやディフューザーの活用がおすすめ
レモンの香りについて、上記を紹介してきました。果実そのものの利用から、レモンフレーバーを利用した製品まで、非常に身近な香りのレモンですが、思っていたよりも豊富な効果があると分かっていただけたのではないでしょうか。
上質なものから雑多なものまで、様々な商品に溢れているからこそ、香り製品の選び方には慎重さが必要です。
香りの選定で迷った際には、目に見えない「香り・ニオイ」に長年取り組んできた弊社にぜひご相談ください。
参考文献
(1)https://www.yafo.or.jp/wp/wp-content/uploads/2016/02/wlns24-2.pdf
(2)https://cir.nii.ac.jp/crid/1390282680060261504
(3)https://www.jstage.jst.go.jp/article/aeaj/20/3/20_200301/_pdf/-char/ja
(4)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjske/16/5/16_TJSKE-D-17-00029/_pdf
(5)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15778119/
(6)http://www.mac.or.jp/mail/190201/01.shtml