小さく白い、または黄色い可憐な花が集まって咲くジャスミン。花の王とも呼ばれる甘く濃厚な香りは古く、クレオパトラにも愛されたといわれています。和名では「茉莉花」と呼ばれ、アジア圏でも長く愛されてきました。
うっとりするような香りをもつだけではなく、その香りには「覚醒」「鎮静」「通経」や「分娩促進」など、主に女性の心と体によい効果をもたらすとされています。ですが実際に香りをかぐだけで、このような効果が本当に期待できるのでしょうか?
そこで本記事では、ジャスミンが持つ香りの効果効能から、ちょっとした豆知識として覚えてもらいたい花言葉まで、ジャスミンの魅力を詳しくご紹介します。
- 覚醒作用
- 鎮静・抗うつ作用
- 通経・分娩促進など
ジャスミンの香りの特徴
ジャスミンティーとしておなじみの花でもあるので、実際に香りを嗅いだことがある方も多いのではないでしょうか。お茶に使われているジャスミンには、品種による違いでわずかな青臭さがあります。
しかしアロマの世界で知られる生花のジャスミンは、より甘く、わずかに動物的な香りを感じさせる他にはないエキゾチックな香りが大きな特徴です。花の状態では、夕方になるにつれて甘く濃く香ることから官能的な香りとしても知られます。
またジャスミンオイルは非常に希少性が高く、実に1,000kgの花びらから100g程度しか抽出できないとも。安価なジャスミンオイルは混ぜ物をされているケースが多くなっているので、本物の香りを堪能したいときには、安すぎるオイルを選ばないようご注意ください。
ジャスミンの系統
実に個性的な香りの特徴を持ち、少量でも濃く香るジャスミンですが、意外にも他の香りとの親和性が高いという特徴も持ちます。したがってジャスミン自体の香りの系統はオリエンタル・フローラル系ですが、合わせるオイルの系統はそこまで神経質になる必要はありません。
柑橘系に合わせると濃厚な甘さを感じさせつつどこか爽やかに。同じ系統であるオリエンタル系、フローラル系に合わせると、より濃厚な香りを楽しめます。
特におすすめしたいのはベルガモットオイル。柑橘系の爽やかさを持ちながら、特有の上品さを持つベルガモットと濃厚なジャスミンを合わせることで、特別な香りを堪能することができるでしょう。ただ香りが強いことは事実なので、合わせる量はごく少量からがおすすめです。
ジャスミンの芳香成分
ジャスミンの主な芳香成分は「酢酸ベンジル(1)」「安息香酸ベンジル(2)」「リナロール(3)」など。どれもジャスミンなどフローラル系の香りに含まれており、甘く華やかな香りを持ちます。またジャスミンの芳香成分の中で欠かせない存在が「インドール(4)」です。
単体で嗅いだ際には、強烈な糞尿臭となり決してよい香りとは言えない芳香成分です。しかし、ごくごく微量が含まれている場合、絶妙なアクセントとなってくれる芳香成分でもあり、ジャスミンらしさの一つである、わずかな動物的な香りはこの成分が由来になります。
(1)フローラル系の香りに含まれる甘く濃厚な芳香成分
(2)ほのかに甘いバルサミコ酢のような香りを持つ高沸点溶剤の一つ
(3)多くのアロマオイルに含まれる甘い芳しい芳香成分
(4)縮合した芳香族複素環式化合物、高濃度になると悪臭ととらえられやすい
ジャスミンの基本情報
学名/科名 | Jasminum sambac・Jasminum officinaleなど/モクセイ科 |
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花言葉 | 愛想のよい/愛らしさ |
運転モード数 | 3段階 |
精油名 | ジャスミン精油 |
抽出部位 | 花弁 |
抽出方法 | 溶剤抽出法 |
香りの強さ | 強め |
ノート | ミドル~ベース |
主な産地 | フランス/エジプト/モロッコ |
注意事項 | 妊娠中の使用は控える、または医師に相談/刺激強め |
ジャスミンの効果と効能
ではいよいよ、ジャスミンの香りが持つ効果・効能について見ていきましょう。身にまとう、部屋に漂わせるだけで効果が期待できる「香り」という成分は、実に使い勝手がよいものだと実感できるかもしれません。
集中したいときに「覚醒効果」
ジャスミンの香りは古くから覚醒効果があるとされていましたが、近年の研究や実験において、実際に覚醒効果があると認められています。
脳波の事象関連電位測定による実験では、リラックス効果がある香りの代表格であるラベンダーと共に実験され、ラベンダーのリラックス効果が認められたのと同じように、ジャスミンの覚醒効果が認められました(※1)。
作業効率・ストレス緩和に「鎮静効果」
面白いことに、ジャスミンには覚醒とは逆の効果である鎮静効果も認められています。同じジャスミンでも鎮静効果が見られたのは「ジャスミンティー」の香りであり、自律神経の副交感神経の活動を促すことで、鎮静作用が得られると考えられています。
またジャスミンティーの香りを用いた実験では、作業量の増加、誤答率の低下などが確認されています(※2)。ほっと一息入れるとともに、気持ちを切り替えたいときなどに有用だといえるでしょう。
またジャスミンに含まれる芳香成分である「リナロール」にも、高い鎮静効果が認められています。鎮静効果と共に「抗不安効果」もラットによる実験で明らかになっている(※3)ので、香りの濃度など活用方法によって覚醒、鎮静どちらの効果も期待できるでしょう。
女性にうれしい「通経・分娩促進」
ジャスミンの香りの効果の中でも、古くから有名なものには女性の体によい花、香りとされてきた事実があります。未だ医学的に明確な根拠があるわけではありませんが、月経不順の改善や更年期障害の緩和、また分娩時に香りをかぐと痛みを和らげる効果が期待できるとされています。
月経前のPMS対策、更年期障害によるイライラ改善のために活用してみてはいかがでしょうか。ただし通経作用があるとされている以上、妊娠初期~中期の使用は控えたほうが無難です。
ジャスミンの香りのおすすめの使用&摂取方法
不安な気持ちからの解放、作業効率向上の効果が期待できるジャスミンの香り。甘くエキゾチックな香りを実際に堪能するにはどのような方法があるのでしょうか?香りをより実感できる方法から、日常的に利用しやすい方法まで、おすすめの使用法や摂取方法についてご紹介します。
コップ1杯からできる芳香浴
日常的にではなく、少し特別なケアとして香りを利用したいときにおすすめなのが、お湯にアロマオイルをたらして蒸気を浴びる芳香浴という方法です。温かいお湯を入れた容器に、ジャスミンオイルを1~2滴たらすだけなので非常に簡単。
後は蒸気と共に立ち上ってくるジャスミンの香りを存分に堪能するだけです。コップ1杯から洗面器、またはバスタイムでの利用など、お部屋のスペースや状況に合わせてお好みでチョイスしてください。
ジャスミンティーを飲む
茶葉から淹れる方法はもちろん、手軽にティーバックを利用したりペットボトルの既製品を購入したり。香り成分を直に体内に取り入れたいときは、ジャスミンティーの利用がおすすめです。
香り成分をしっかり堪能したい場合は、茶葉から淹れる方法が特におすすめになるでしょう。ただし、アロマオイルで一般的に用いられるジャスミンとは少し香りが異なる点に注意が必要です。
空間を香りで満たすならアロマディフューザー
日常的にジャスミンの香りを堪能したい、よりジャスミンの香りが持つ効果・効能を活用したいと考えるのならアロマディフューザーを活用しましょう。
オイルをセットした後は、スイッチ1つで空間一杯に広がるジャスミンの香りを堪能できるようになります。またアロマディフューザーは香りの濃さを調整するのも簡単なので、強い香りであるジャスミンを扱うにはピッタリといえるでしょう。
香りを漂わせる時間帯や空間の大きさに合わせてチョイスできる点も、アロマディフューザーのメリットの一つ。個人宅はもちろん、オフィスやロビーなど大きな空間でも、記憶に残る香りをほのかに漂わせることが可能です。
まとめ
- ジャスミンの主な芳香成分は「酢酸ベンジル」「安息香酸ベンジル」「リナロール」そして「インドール」
- ジャスミンの香りの効果・効能は「覚醒作用」「鎮静・抗不安作用」「通経作用」など
- おすすめの利用方法は芳香浴・アロマディフューザー
さまざまな芳香成分が含まれたジャスミンの香りは、思いもよらないような効果効能も期待できます。しかし効果効能は魅力的でも、ジャスミン単体の香りでは強すぎると感じるケースも考えられるのではないでしょうか。
このような場合は、香りの専門家として長年研究してきた弊社にぜひご相談ください。柔軟な対応力でお客様のご希望にお応えします。