昨今、アロマがビジネスシーンでも利用できるとして、にわかに注目を集めています。実際、良い香りのする空間に出会って、心地よいと感じた経験を持つ方も多いのではないでしょうか。
実は、アロマ(香り)という、目には見えなくとも身近な感覚は、非常に多くの場面で活用できる便利なアイテムなのです。
まして、心地よい空間の演出だけではなく、実際的な効果も期待できるのであれば、アロマへの注目・関心は一層高まることでしょう。では、実際のところアロマに期待できる効果や、ビジネスでの活用方法とは具体的にどのようなものがあるのでしょうか?
本記事では、アロマの活用方法はもちろん、ビジネスシーンでアロマが有効だとされる理由まで詳しく解説いたします。
- 空間に香りを拡散させて香り空間を演出する
- 名刺・DMに香りをつけて記憶を刺激する
- 社員のストレスコントロールも可能
ビジネスシーンでアロマが有効とされる理由
ビジネスシーンでアロマが有効とされる理由は、香りが人にとって、より原始的な感覚であることが関係しています。
ニオイ・香りを感じるシステムを簡潔に表現すると「鼻腔に存在する嗅神経にニオイの分子が触れ、電気信号に変換されて脳に届くことでニオイ・香りを認識する」となります。残る五感である視覚・聴覚・味覚・触覚のそれぞれも、刺激や食材の成分が電気信号に変換され、脳に届くことでそれぞれの感覚を認識することに変わりはありません。
ここでポイントとなるのが、他の感覚が脳の大脳新皮質と呼ばれる脳の外側を経由することに対して、嗅覚の信号はダイレクトに大脳辺縁系や海馬に届くことです。大脳新皮質とは、脳の構造的に比較的新しい構造部位であり、理性をつかさどる脳と考えられています。
簡単にいえば、人を人足らしめるための理性的な思考をする部位といえますね。
一方、大脳辺縁系は多くの動物にも共通する原始的な脳領域です。そして海馬は、記憶に関係する部位であるため、これらにダイレクトに届く嗅覚は、理性的にニオイのもとを判断するより前に、過去の記憶やそのときの情動を想起させる(※1)と考えられているのです。
お線香の香りをかぐことで、田舎の祖父母と過ごした子どもの時を思い出す。雨のニオイで、昔の恋人のことを思い出すなどといった経験をしたことはありませんか?このような、ニオイを感じることで昔のことを思い出す現象を、マーケティングなどに利用できないかと考えられているのです。
結果的に、視覚や聴覚より、直接的に人の記憶や感情を揺さぶられる嗅覚を、マーケティングなどに用いるために有用とされているのがアロマなのです。また、アロマ(香り)には、リラックス効果や集中力向上など、実際的な効果が期待できることも判明しています。
リラックス効果・集中力向上は、共にビジネスをスムーズに進めるために重要なポイント。このような背景があるからこそ、ビジネスにおいてアロマが有用だと考えられているのです。
具体的なアロマの利用方法
アロマがビジネスに有用だとされる理由を把握した後、気になるのは「実際にはアロマをどう活用すれば良いのか?」といった点のはずです。ここでは、具体的なアロマの活用方法について見ていきましょう。
空間に香りを拡散させる
ビジネスシーンにおけるアロマの活用法で、最も一般的かつ、導入しやすい方法が空間に香りを拡散させる方法です。アロマディフューザーを用いて、企業やホテルのロビー、オフィスを香り空間にする方法です。
一般的なアロマの使い方でもあるため、香りを拡散させるアロマディフューザーなども多種多様な製品が扱われています。個人宅用はもちろん、企業・業務用のアロマディフューザーも豊富な種類があるため、空間の規模やシーンに合わせて香りを拡散できるはずです。
空間に香りを拡散させる理由については、以下のようなものが挙げられます。
ホテルや企業のブランドコンセプトを香りで演出する
香りの効果(リラックス効果・集中力アップなど)で、業務効率をアップさせる
アロマの効果は多岐にわたるため、企業の業務ごとで適したアロマを選ぶことも大切です。
名刺・DMに香りをつける
名刺やDMに香りをつけるという方法もあります。名刺に香りをつけておけば、初対面の相手であっても、香りから話を弾ませることができるでしょう。また、香りによって強く印象付けられるため、必ず覚えて欲しい相手にこそ香り付きの名刺は有効になります。
また、ホテルや企業のロビーで使っている香りと同じものをDMから香らせられれば、ホテルや企業で過ごした時間も一緒に思い出してもらえます。過ごした時間が楽しいものであれば、香りと一緒に当時の楽しかった感情も思い出してもらえるでしょう。
結果的に「同じホテルや企業を利用すれば、思い出と同じようにまた楽しめるかもしれないと」考えを誘導できる可能性もあります。リピーターを作る上での、一つの有効な方法だと考えられています。
小物に香りをつけてストレスコントロールができる
こちらは企業が導入するというより、個人的な方法です。好みのアロマや香水をハンカチなどにしみこませておくことで、いつでも心地よい香りを摂取できるようにしておく方法です。
香りに期待できる効果のなかには、イライラを鎮める鎮静効果や、自律神経のバランスを取ることでリラックス効果が期待できるものもあります。
仕事が忙しくて気を張りっぱなしの場合や、クレーム処理などでストレスが溜まったときなど、好みの香りを摂取することで、意識的に心を落ち着かせることが可能になるのです。
ごく些細なことのように感じられるかもしれませんが、効果的なストレスコントロール法だといえます。
ビジネスシーンごとのアロマの活用方法
ビジネスでアロマを活用する方法に、空間に香りを拡散させる方法があると紹介しました。
しかし、一言で香りを拡散させるといっても、香りの種類も空間ごとの目的も種類が豊富にあります。どこにどのような香りを拡散させれば良いのかと迷ってしまうこともあるでしょう。
そこでここでは、シーン・空間ごとの活用法とおすすめのアロマについて解説します。
商談室・エントランスへ使用し印象UP!
商談室やロビーには、心地よく感じられるアロマや、企業やホテルを表すアロマを使用して印象アップを狙いましょう。すでに高級ホテルなどでは、ホテル独自のフレグランスを焚いて、ブランドイメージを高める試みがなされています。
企業やホテルのイメージ=アロマとすることで、他の場所で同じ香りに出会ったときも、企業やホテルのことを思い出してもらえるようになります。アロマそのものが、企業やホテルの宣伝になってくれるということですね。
- グレープフルーツ
- ジャスミン
- ユーカリ
- ヒノキ
- フランキンセンス
上記のように万人受けしやすいアロマを使うことで、多くの方に心地よい香り空間だと感じてもらえるはずです。
休憩室に利用することで社員のリフレッシュ
社内の休憩室には、リラックス効果や心を落ち着かせる効果のあるアロマを拡散させる方法がおすすめです。休憩時間に心身ともにしっかりとリラックスできることで、業務に戻った後の効率を向上させられるでしょう。
実際に香りあり・なしの空間で行われた実験もあります。結果は、香りありの空間の方が休憩効果が高まるという可能性が示唆されました(※2)。
- レモン
- ラベンダー
- カモミール
- サンダルウッド
- ヒノキ
上記のアロマはどれもリラックス効果、またはリフレッシュ効果が高いとされるものです。香りの効果は個人の嗜好によっても左右されるため、最初はほのかに香らせる程度から始めると良いでしょう。
h3:オフィスに使用して集中空間へチェンジ
実際に業務を行うオフィスでは、集中力向上・冷静さを高める鎮静効果があるアロマがおすすめです。業務により集中できることで、作業効率の向上が期待でき、結果的に企業全体の業績を高めることにもつながるでしょう。
- レモン
- グレープフルーツ
- ジャスミン
- ペパーミント
- ローズマリー
- ユーカリ
- シダーウッド
- ジュニパー
集中力向上、鎮静作用が期待できるアロマも豊富にあるため、社員の好みに合わせてチョイスしてみてください。また、アロマはブレンドをして使う方法もおすすめです。
アロマをビジネスで活用する際の注意点
ここまでアロマをビジネスで活用すべき理由や、活用方法について見てきました。様々な良い面があったため、すぐにでも導入したいと考えるケースもあると感じます。
しかし、ビジネスでアロマを利用する際には、知っておくべき注意点もあります。
アロマに限らず、どのようなものであってもメリットしかないという物はなかなか存在しません。あとになって不都合が起きないよう、注意点についても知っておきましょう。主な注意点は以下の通りです。
- コストがかかる
- 香りの嗜好は人によって異なる
それぞれ詳しく解説いたします。
コストがかかる
アロマに限らず、新しいものを導入する際には、どうしてもコストがかかります。
高額すぎるアロマ・アロマディフューザーを選んでしまえば、コストパフォーマンスが良いとはいえなくなります。一方、安すぎるアロマ・アロマディフューザーでは香りの効果が期待できない恐れがあるのです。安いアロマのなかには品質が悪く、香りの効果を発揮するための成分が含まれていないものもあります。
ビジネスにアロマを導入する際には、品質とコストのバランスもしっかり見極めてください。
香りの嗜好は人によって異なる
ここまでにも軽く触れてきましたが、香りの嗜好は人によって大きく異なります。また、味覚や触覚と異なり、嗅覚は積極的に摂取しようとしなくとも、勝手にニオイを感じてしまうものです。
そのため、アロマを導入する際には、大勢にとって受け入れられる香りなのかも事前に確認してください。また、最初はごく軽めに香らせるなど、周りが受け入れられるようになるまでは配慮も必要です。
アロマをビジネスに導入した事例
弊社では天然のアロマと合成香料をブレンドすることで、安定性や品質を向上させつつ、飽きの来ないフレグランスを利用したアロマディフューザーを取り扱っています。
以下、実際にビジネスシーンで導入いただいた事例について紹介いたします。
オフィスエントランス兼リラックススペースへの導入事例
スポーツビジネスの支援を行っておられる「Sports Entertainment 様」のエントランス兼リラックススペースへ導入いただいた事例です。
エントランス兼リラックススペースへ香りを導入される目的は、オフィス環境を向上させることによる従業員の定着と採用強化。また、エントランス部分であるため、来場いただいたお客様に心地よい空間を提供することでした。
また、インテリアにも強いこだわりをお持ちのお客様だったため、ディフューザーはダクトイン型を提案いたしました。この選択で、ディフューザー本体に目を取られることなく、お好みの香りを空間に拡散できるようになったのです。
香り・ディフューザーを提案しつつ、2週間のトライアル期間で、ご希望通りの空間演出を叶えられたと自負しております。
ディフューザーの導入効果
- 香りによる空間の演出
- ダクトイン型のディフューザーで景観を損なわない
- 2週間の無料トライアルで実際の香り空間を事前に確認
ホビーショップへの導入事例
フィギュアなどのホビーグッズを専門的に扱う「SOOTANG HOBBY様」の店舗全体に導入いただいた事例です。
昨今のフィギュアを始めとするホビー類は、単なるおもちゃではありません。細やかな造形やダイナミックなデザインは、ある種の芸術品ともいえるでしょう。SOOTANG HOBBY様では、まさしく店内を美術館のような空間にしたいとのご要望をいただきました。
選択いただいた香りは、弊社のフレグランスの中でも人気が高いシトラスベースの「アクアヴェルデ」。香りが店舗内にまんべんなく広がるよう、ディフューザーは大型のものを選択しました。導入後は、来店したお客様からも評判が良いと、嬉しいお言葉をいただきました。
ディフューザーの導入効果
- 選択いただいた香りはシトラスベースの「アクアヴェルデ」
- 美術館のような静謐かつ高級感を覚えさせる空間を演出
- 大型ディフューザーでまんべんなく香りを拡散
高齢者向け内科クリニックへの導入事例
北海道札幌市にある「市立病院前老年内科メモリークリニック様」にて導入いただいた事例です。高齢者向けの内科だけではなく、精神科として心のケアも行っているため、よりリラックスできる空間を演出したいとのご要望をいただきました。
選択いただいたフレグランスは、清涼感と柑橘類のフレッシュな香りが楽しめる「シトラスハーバル」。奥行きのある待ち受け室全体に香りが広がるよう、中~大規模用のディフューザーをご提案いたしました。
導入の結果、クリニックへ通院される患者様のご家族様からも「介護疲れがある中、クリニックの待ち時間が安らぎのひと時になった」とうれしい言葉をいただけました。
ディフューザーの導入効果
- 選択いただいた香りはフレッシュ&清涼感香る「シトラスハーバル」
- 中~大規模用ディフューザーで奥行きのある空間もしっかり香り空間に
- 香りの効果でリラックス空間を演出
まとめ
今回はアロマをビジネスで用いることについて解説いたしました。様々な利用方法があることに、驚いた方も多いのではないでしょうか。以下、ビジネスにおけるアロマの具体的な活用法を簡単におさらいしておきましょう。
- <空間に香りを拡散させる
- 名刺・DMに香りをつける
- 小物に香りをつけることでストレスコントロールができる
香りという、目には見えないものが人の感情や記憶に密接に関係しているからこそ、ビジネスでもアロマを活用することができるのです。ただ、注意点でも触れたように、アロマを上手に活用するにはコツが必要です。せっかく導入をするのであれば、できるだけ効率よく効果を実感したいと考えるものでしょう。
何から始めればよいのか…と迷っているのであれば、ぜひ弊社にご相談ください。お客様のご要望をくみ取り、ご希望通りの香り空間を作り上げるお手伝いをいたします。