天然のアロマを用いたリラックス効果は、睡眠の質を向上させると様々な研究から実証されています。そもそも睡眠が人によって重要な行動であることはよく知られていることでしょう。
人生の中で3分の1の時間が睡眠に当てられているとも言われ、健康維持やストレス発散のためにも、睡眠時間を確保することは非常に重要なポイントです。しかし、現在ではこの「ただ眠る」という時間の確保が難しい方が多いことも事実です。
純粋に仕事や家事が忙しすぎて時間が取れない方から、ついつい趣味を優先して睡眠時間が犠牲になっている方まで。そこで本記事では、短時間であっても睡眠の質を上げるアロマを用いた方法、そもそもなぜアロマが睡眠の質を上げられるのかなど詳しくご紹介します。
- アロマが睡眠の質を上げる理由は、ストレス緩和効果による
- おすすめの香りは「ラベンダー」「ベルガモット」など
- 好みの香りを見つけることがポイント
アロマのリラックス効果が睡眠の質に関係する理由
アロマを用いることで睡眠の質を向上できる、と一言で言われてもなかなか納得できない方も多いでしょう。特にアロマとあまり接点がなかった方にとっては、かえって香りが鼻について眠れなくなるのでは?と思ってしまうもの。まずはアロマと睡眠の関係について解説します。
アロマが脳に直接働きかける
特定の香りをかいだ瞬間、古い記憶を鮮烈に思い出したことはありませんか?この現象は「プルースト効果」と呼ばれるもので、嗅覚が五感の中でも原始的な感覚であり、脳に直接働きかけるからこその現象だとされています。
香りをかぐだけで脳に直接的にアプローチできるということは、即効性が高い方法だともいえます。イライラとした気持ちを静める、または不安感を抑えられる香りをかぐことで、リラックス効果を素早く実感できるのです。
ストレスは覚醒効果のある「交感神経」を刺激するので、睡眠時にストレスが溜まった状態ではぐっすりと眠ることが叶いません。だからこそリラックス効果のあるアロマを利用することで、交感神経の高ぶりを抑えられ、睡眠の質が上がるとされているのです。
アロマが副交感神経を優位に
続いては、なぜアロマでリラックス効果が得られるのか?といった点について見ていきましょう。アロマの芳香成分の中には、酢酸リナリル(1)、シトラール(2)のようにリラックス効果を促す成分が含まれています。
これらの成分はアロマを用いることで嗅覚から吸収、脳にダイレクトに届くことで速やかに副交感神経を優位にすることができるのです。実際に上記成分を含むラベンダーやベルガモットを用いた実験で、良質な睡眠を阻害する身体的・精神的疲労感やストトレス、緊張感が有意に低下する(※1)ことが確認されました。
また上記成分は交感神経をなだめ、副交感神経を優位にする効果(※2)も認められています。副交感神経が優位になる=リラックスした状態になるので、睡眠時にアロマを焚くことで良質な睡眠に導き、深く眠れることからすっきりとした目覚めが期待できるのです。
ただしすべての人に同一の効果が見られるわけではなく、香りに対する好感度によって効き目が異なるのではないかと考えられています。香りの効果だけに縛られるのではなく、好ましいと感じられる香りを見つけることも重要です。
(1)自然界に存在する芳香構成分、エステル類に分類され、安定した構造を持つことから様々な分野で香りづけに利用される
(2)自然界に存在する芳香成分、モノテルペン類に分類され、水に溶けにくい性質を持つ。柑橘類に含まれる代表的な香りの一つ
リラックス&睡眠の質を高めるアロマ精油
アロマが睡眠の質向上に良いと分かったあと、次に気になるのはどんなアロマを選べばよいのか?といった点でしょう。上記でも軽く触れたように、香りの効き目にはその香りをどう感じるかといった面も重要です、複数の香りの中から、自分に合ったものを選んでみてください。
ラベンダー
リラックス&安眠効果のアロマといえば、多くの方が一番に名前を上げるのがラベンダーではないでしょうか。実際にリラックス・安眠効果に高い効果が期待できるアロマとして、医療の現場でも注目されている香りです。香りの特徴は甘く柔らかさを覚えるフローラル系。
ベルガモット
柑橘系の爽やかな香りと、甘いフローラル系の香りを一度に楽しめるのがベルガモットです。紅茶のアールグレイの香りづけにも使われているので、お茶好きな方であれば身近に感じやすい香りかもしれません。リラックスとリフレッシュ、相反する2種の効果があるとされています。
ローズ
甘く瑞々しい香りを持つローズは、アロマになっても「香りの女王」と呼ばれるほど。抜群の存在感と華やかさを持つ香りは、不安感を薄めることで緊張感やストレスを緩和する効果があるとされています。また女性ホルモンへの働きかけが期待されることから、特に女性におすすめの香りといえるでしょう。
ジャスミン
ローズが香りの女王と呼ばれることに対し、ジャスミンはその存在感のある甘く重厚な香りを指して「香りの王」と呼ばれます。ジャスミンはリラックス効果と共に、血圧を下げる効果があるとされています。睡眠中は血圧が降下することが健康的とされるので、より安眠効果にも期待できるでしょう。
睡眠時におすすめのアロマの使い方
睡眠時に効果的なアロマを確認した次は、睡眠時におすすめのアロマの使い方についてご紹介します。ごく簡単な方法ばかりなので、自身のお好みの方法を取り入れてみてください。
アロマストーンで短時間利用
アロマストーンと呼ばれる、ごく微細な穴が開いた石にアロマオイルを1、2滴たらして用いる方法。香りの広がり方が穏やかかつ、香りの持続時間が比較的に短いのでアロマ初心者さんにもおすすめの方法です。アロマストーンはデザインも豊富なので、インテリアとしても活躍してくれるでしょう。
アロマスプレーで必要空間にだけ
シュっと一吹きするだけと、気軽に利用できる点が大きな魅力なのがアロマスプレーです。こちらも香りの持続時間は短め、また香りが必要な空間にだけ利用できるので、特定の1部屋だけ香りを広げたいケースで便利に活用できます。
ディフューザーで部屋全体に使用
部屋全体、または広範囲にアロマを拡散させたい場合におすすめなのが、アロマディフューザーの活用です。タイマー付きのディフューザーであれば、アロマストーンやスプレーのように、就寝時にわざわざアロマの用意をする必要もありません。
いつも通りの時間に寝室に行けば、それだけで穏やかな香りに包まれて就寝することができます。またアロアディフューザーであれば、香りの種類を交換することも簡単です。就寝時だけではなく、仕事中や家事をしている間など、日々の生活の中でもアロマを堪能できます。
まとめ
- アロマが脳に働きかけて心身をリラックス、副交感神経を優位にすることで安眠効果も期待できる
- 安眠におすすめのアロマは「ラベンダー」「ベルガモット」など
- 安眠のためにアロマを利用するなら、タイマー付きのディフューザーが便利
ただ眠るだけではなく、睡眠の質にこだわることは日々のパフォーマンスを向上させることにもつながります。枕など寝具にこだわる方法もありますが、アロマであれば比較的取り入れる際のハードルも低くなるでしょう。
また、オフィスの仮眠スペースやホテルの客室などでも、アロマを用いることでより満足度の高い睡眠時間を得ることが叶います。すっきりと目覚められる空間を演出することで、結果的に業務効率の向上やホテルに対するイメージを底上げすることにもつながるでしょう。
もちろんアロマは睡眠時間以外、リラックスを促すだけではなく様々な効果が期待できます。香りに関するお悩み事、ご利用を検討している際には、香りのプロフェッショナルを擁する弊社に是非お気軽にご相談ください。