注目の「健康経営」を職場環境の「空気質」設計で支援する動き《最前線レポート》
カルモア取締役社長の榎本です。
先日、某大手設計会社・研究室の方よりお声がけ頂き、研究分科会に参加させて頂きました。
今回は、その分科会にて意見交換した内容を、
【建築設備設計業界での「空気品質」への取り組み最前線】
として、レポート形式でお伝えできればと思います。
目次(このページのコンテンツ)
5.まとめ
企業からますます注目される「健康経営」
分科会の中で特に注目されたのは、今、経済産業省が促進強化する「健康経営」についてです。
「健康経営」とは
従業員の健康保持・増進の取組みが、将来的に収益性 等を高める投資であるという考えのもと、従業員の健康管理を経営的な視点から考えて、戦略的に取り組むことです。
健康経営は、日本の再興戦略、未来投資戦略に位置づけられ、経済産業省でも平成26年度から「健康経営銘柄」を選定、平成28年度には「健康経営優良法人認定制度」を創設し、従業員の健康管理に取り組む企業を社会的に評価する環境の整備を急ピッチで進めています。
健康経営がわかる資料としては、、、
経済産業省「健康経営の推進について(令和3年10月版)」
ちなみに、「健康」とは?
WHO(世界保健機関)によると、「健康とは単に病気でない、虚弱でないというのみならず、身体的、精神的 そして社会的に完全に良好な状態」と定義されています。
健康経営の促進は、もともと長寿国ニッポンの経済対策の一つとして出てきた要素が強くはありますが、しかしながら近年の、
-
- SDGs(持続可能な開発目標)、
- ESG投資(環境・社会・ガバナンスの評価)、
- WELL認証(建物の環境・エネルギー性能と利用者の健康・快適性を評価するシステム)
などの動きと相まって、従業員の健康、あるいは長期的かつ良好な雇用契約関係を維持すべく、「快適・安心・安全な就業環境の整備」の必要性が「健康経営」指針の中にも盛り込まれているという点が、私たち建築設計業界の人間にとって注視すべきところと言えます。
「健康経営」のメリットと参加企業増加の流れ
「健康経営」導入のメリットとしては、
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- 欠勤者・休職者の減少 →生産性向上・離職率低下・人件費削減
- 企業イメージの向上・良好な就業環境提供 →離職率低下・優秀人材の確保
- 株価・企業価値評価の向上
- 社員間コミュニケーションの改善・活性化 →生産性向上・離職率低下
- (国家的メリットして)健康を意識する従業員が増え、医療費削減に寄与
- 自治体や資金融資においてのインセンティブ制度を利用できる
などが挙げられています。
建築設計関連の方は、このあたりを企業様や施設オーナー様にアドバイス・ご提案されることになるかと思います。
経済産業省では、これら上記の効果を、数値的データで報告しています。
離職率低下、株価・企業価値評価の向上など実証データ:「健康経営の推進について」の39ページあたりからです。
また、自治体や資金融資におけるインセンティブ制度については、
「健康経営の推進について」109ページから紹介しています。
健康経営優良法人の認定数 推移
健康経営優良法人の認定数データをグラフにすると、右肩あがりに伸びており、関心の高まりは顕著です。
「健康経営」と就業環境の整備は、大手のみならず中小企業にとっても無視できない戦略となるでしょう。
健康経営を支援しうる「空気品質」の設計とは
さて、この健康経営の促進において、「空気品質」あるいは「空気の設計」は、いかに支援し得るのでしょうか。
それが今回の分科会テーマとも言えます。
空気品質は、人間に影響を与えるか否か?!
ここで、非常に興味深い実験結果があります。
2018年に弊社が杏林大学名誉教授 古賀先生と共に研究した、「人間の脳への空気質の影響 試験」です。
この実験では、室内空気品質が生産性の向上に役立つことを脳科学的に実証しました。
実験の詳細は、
① 何もしない空気
② イオンを流入させた空気
③ フレグランスを流入させた空気
の3種類の空気質空間を用い、それぞれの空気環境において、
A) 記憶・論理的思考・作業効率のパフォーマンス評価
B) 脳血液量の変化=脳の活性化量
を測定したというものです。
結果、驚くべきことに、A)B)どちらの評価基準においても、空気品質が人間の生産性に影響を与える結果となりました。
この実験でも証明された通り、空気品質が人体へ影響を及ぼすことが分かってきました。
さてこれからの課題は、いかに「空気品質の価値」を施主オーナー様・ビル利用企業様に認識してもらうか。
空気品質を「見える化」することが、そのカギとなるかもしれません。
分科会では、室内空気質のセンシング管理技術などについても紹介されました。
経済産業省推奨:健康を保持増進する行動指針
経済産業省によると、健康を保持増進する行動として7つの指針が挙げられています。
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- 快適性を感じる
- コミュニケーションをする
- 休憩気分転換する
- 体を動かす
- 適切な食行動をする
- 清潔にする
- 健康意識を高める
さらに、「快適性を感じる」という大項目の中には、
・空気質を快適と感じる
・香りを快適と感じる という小項目が記載されています。
健康経営優良法人の認定要件:感染症予防対策
また、以下の表は健康経営優良法人の認定要件ですが、その中に「感染症予防対策」という項目もあります。
抜粋元:経済産業省「健康経営の推進について(令和3年10月版)」より
健康経営を支えるサービス(経済産業省 紹介)
経済産業省では、こうした健康経営促進の有効な商品・サービスとして、以下のとおり紹介しています。
「健康経営の推進について」(104ページ目)より抜粋:
上記サービスのうち、特に、
4.感染症予防対策に関するサービス
9.職場の活性化に関するサービス
(健康経営オフィス、オフィス菓子、マッサージ/リフレッシュルーム運営支援、音楽/BGM 、職場環境改善IoT)
の2項目は、空気品質の環境を整備することで、十分にご支援可能です。
空気品質を整備・コントロールするという側面から、「健康経営」への関与、支援は、十分に可能そうです。
カルモアがご提案する空気品質向上
以上に見てきた社会的ニーズに対し、カルモアでは「快適性」「香り」「感染症対策」の製品サービスをご提供しています。
快適性の提供
■除菌脱臭装置/酸素クラスター除菌脱臭装置レビオン(Levion)
前述の大学教授との空気品質実験で利用したイオン技術です。
オフィス空間内に脱臭・除菌効果のある、空気イオンを供給します。
常時空間内をイオンで満たされた空気にしておくことで、室内で発生する臭気を速やかに脱臭し、同時に空間を漂う細菌やウイルスを除菌・不活化させて、空気を快適な状態に維持します。
■対策事例:リフレッシュルームの臭気・感染対策
オフィス内のカフェ/リフレッシュルームの臭気対策、感染対策として、シルフィードminiを導入致しました。
お昼時にはお弁当を持ち寄り食事をすることで、残存臭が滞留することを防止したいということで、オフィス移転に合わせて設備を導入。
脱臭だけでなく、感染対策としても効果を発揮します。実際の空間において、空中浮遊菌を測定した結果、未稼働の状態と稼働している状態で測定した結果、効果は歴然。約90%も浮遊菌を抑制していることを確認しました。
香りの提供
■空間フレグランス/シュヴァリテエール(Suvalite Air)
建築内空間の対策を専門とするカルモアならではの業務用フレグランスです。
エントランスや会議室などの空間に対して、置き型/ダクトイン型の業務用ディフューザーで香りを供給します。
香りの効果で集中力を高めたり、リラックスを促したりすることで、快適な空間づくりに貢献します。
■対策事例:企業内コワーキングスペース
多くの人が集まって仕事を行うコワーキングスペースにおいて、集中力向上に効果が期待でき、仕事モードに切り替わるというコンセプトの元、柑橘系の香りで空間演出致しました。
感染症予防対策
抗ウイルス力を強化した酸素クラスターイオンの生成を実現。除菌特化型モデルです。
イオン発生量は従来品比で5倍、抗ウイルス効果は2.6倍の威力を有し、表面除菌・空間除菌の両方を実現する、次世代型プロ仕様の空気清浄機です。
■対策事例:東京ガーデンテラス紀尾井町(オフィス・マンション・商業施設)
施設内、全26施設、計28台を導入しました。
(従業員ロッカー室、従業員休憩室、フィットネスルーム、カンファレンスルーム、シガールーム、パーティールーム、カンファレンス管理室、駐車場管理室、更衣室、施設管理室、統括管理室、物流センター、仮眠室、清掃事務所、清掃控室、控室等)
導入の決め手は、44畳対応可能(1台当たり)という対応容量の大きさ、設置・メンテナンスの容易さ、そして何より、「酸素クラスターイオン」販売年数・導入実績の多い信頼性です。
まとめ
建築設計会社様主催による今回の分科会では、今、経済産業省が推進する「健康経営」について、空気品質の整備・コントロールという観点からの支援・提案の可能性について話し合いました。
その可能性は十分にあり、今後さらなるビジネス展開が期待できるという見解に至りました。
弊社の脱臭フレグランス製品・ニオイセンサー技術・除菌抗ウイルス製品などにより、こうした新しい試みに関与させて頂けることは非常に楽しみです。
引き続き、空気業界の最前線を皆様にお届けして参りたいと思います。
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カルモアでは、誰もがどこでも安心・快適な空気を吸えるよう、調査から対策まで、
問題解決のお手伝いをしております。些細なことでもまずはお気軽にご相談ください。