塗装工場の有機溶剤臭対策はすごく難しい。

 

予算があるのであれば、蓄熱式燃焼脱臭装置が一番。

ＶＯＣもほとんど分解できるし、言うこと無しの最強装置。

 

しかし、値段が高い。うちのＲＴＯが業界トップクラスの安さとしても、それでも高い。工場内の作業環境を考えると、大風量の排気にせざるを得ない状態において、燃焼装置を導入できるところは大資本工場のみと限られているのである。

 

次いで活性炭装置となるのであるが、活性炭装置は吸着能力こそ高いものの、これからの塗装工場排気で使うのはあまりお勧めできない。

 

一つめの問題として目詰まり対策。塗料ミストがきちんと取れているのであれば活性炭装置は一つの選択肢であるが、塗料ブースの直後のダクトを見ると、たいていこんもりと歴代のミストが積もり積もっているのである。

除塵ができるプレフィルターを使ったところで、毎日のプレフィルターの交換が必要だ。ところが、たいていそこまでの維持管理ができないので、活性炭の方も目詰まりしてしまって使い物にならなくなる。そんな脱臭装置を山ほど見てきた経験から、それだったら最初から入れない方がいいという結論。

 

 

 

今回の工場もそんな塗装工場。

ブースのミスト除去性能が悪く、ダクトの中は塗料がこんもり。

VOCもかなり出ているようだ。

 

現在は工場の上に排出していて

 

ところが隣に民家が建ってしまった。

 

２億円のRTOを買うなら、２億円でその土地を買っておいた方が絶対に良かったと思っても後の祭り。苦情が出たら行政が動き出す。 操業停止になる前にやるべきことはやらねばならない。

 

今回は場所もないし、工場の構造計算上、屋上に何も乗せられない。

その中でどうやるか、考えなければならない。

 

今の段階では消臭剤マイクロゲルによる方法しかないだろう。

 

 

 

が、苦情をなくすことができるのか、それにはどれだけ取らなくてはいけないのか。

その点の見極めが難しい。

弊社の技術研究所ではマイクロゲルによるVOC除去もいよいよ８０％台が出るようになってきた。

試験的に先行導入してもいいのかもしれない。

そんなことを考えながら、設計画面に向かっている。