産業工場の排気は普段の生活の中では体験することの無いようなレベルの「強い臭い」です。
「強い臭い」は風に乗って運ばれ、周辺住宅地へと飛んでいきます。
テレワークが進んだ現在では家にいる時間が以前よりも増え、住民の方の中には近隣の工場からの臭気が気になり出し、苦情へとつながるケースも少なからず見受けられます。
苦情が工場へ寄せられてしまった場合でも「なにから始めればよいのか分からない」場合が多いかと思います。
もちろん弊社へお問い合わせ頂ければ、工場の臭気対策で経験豊富な臭気判定士が丁寧にサポートいたしますが、
今回は問い合わせまではいかないけれども「脱臭装置にどんなものがあるか知りたい」「少し興味がある」という方向けに記事を書かせて頂きます。
はじめに、脱臭装置の種類についてです。
詳細は弊社リンクページをご参照ください。
工場向け脱臭装置の種類(概要)
結論、燃やしてしまうのが一番臭いが取れます。
元々は「直接燃焼法」という800℃程度までの高温でニオイ物質を完全に燃やして、水と二酸化炭素まで分解してしまう方法が主流でした。
しかし、燃焼させるための燃料コストが高いこともあり、弊社ではより省エネ型のRTO(蓄熱式燃焼脱臭装置)やETO(触媒式燃焼脱臭装置)のご用意がございます。どちらも標準脱臭効率95%以上です。
必要ユーティリティの少ないものとして、吸着式脱臭方式である「活性炭」「ゼオガイア」がございます。
「活性炭」は汎用的な吸着材として有名で、比較的様々な物質を吸着できます。ただし、活性炭の細孔にニオイ物質を吸着しきってしまうと、それ以上脱臭はできないため、定期的な交換が必要となります。
「ゼオガイア」は特に食品工場での実績が多い製品です。特殊な組成にすることで、ニオイ物質を吸着するだけではなく「徐放:少しずつニオイ物質を放出」することでロングライフを実現可能としています。
薬剤・消臭剤マイクロゲルによる脱臭装置として「スクラバー」「MGスプレー装置(消臭剤マイクロゲル噴霧装置)」がございます。
ニオイ物質と薬剤・消臭剤マイクロゲルとの化学反応や物理吸着により脱臭するため、ニオイ物質と薬剤との相性が重要になります。
「スクラバー」は独自の充填剤を敷き詰めた塔の中でニオイ物質と薬剤接触させる方法で脱臭し、後述の「MGスプレー装置(消臭剤マイクロゲル噴霧装置)」よりも脱臭効率は高くなります。
「MGスプレー装置(消臭剤マイクロゲル噴霧装置)」は消臭剤マイクロゲルをナノオーダーでスプレーする方式で、セメント工場などに代表される大風量の排気でも比較的コストを抑えた対策が可能です。
さて、上記までで工場向け脱臭装置の概要をご覧頂きましたが、
脱臭装置を選定する切り口の一つに「排気風量」があります。
もちろんニオイ物質の種類や濃度、他の要素との兼ね合いもありますが、排気風量の規模により装置種類の制約があります。
排気風量と脱臭効率
下図の色分付けされている範囲が各脱臭装置で対応可能な排気風量・脱臭効率の目安です。
低風量~中風量では比較的脱臭装置の種類が豊富ですが、1000m3/minを超える大風量の場合ではMGスプレー装置等での対策となることが多いです。
排気風量と導入コストイメージ
下図に排気風量が3m3/min、500m3/min、1000m3/minの場合の脱臭装置導入コストイメージ例を示します。
風量が大きくなるほど対応可能な装置が限られてきます。
(1000m3/minの場合はゼオガイアorMGスプレー装置)
ただし、ニオイ物質、濃度や仕様等により下図イメージとは異なる場合もございますのでご了承ください。
いかがでしょうか。今回の記事では工場向け脱臭装置の概要と、排気風量との関係をお伝えいたしました。
実際の工場向け臭気対策をする上では、上記の排気風量だけではなく様々な条件を加味して装置を選定し、お客様毎のオーダーメイド仕様にて対応をいたします。
ご検討の際にはお気軽にお問い合わせください。
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