工場における臭気対策で、「硫化水素の対策」をご相談されることがよくあります。

今回は、「硫化水素って何？」という物質の特性から、

「工場における硫化水素の対策」までをご紹介します。

 

硫化水素って何？

硫化水素は臭気の中でも、非常に身近なものかもしれません。

 

身近にある硫化水素

例えばご飯のおいしい匂いも実は硫化水素なんです。

あとはゆで卵の匂い、温泉の匂い、、、と日常生活でもいろんなところで硫化水素は発生します。

 

硫化水素は低濃度からニオイを感じ始めます。

臭気物質は同じ濃度でも人間の嗅覚に訴えてくる刺激の強さが違うんです。

一般的には臭気物質を人間が初めて感じる臭気物質の濃度を『嗅覚閾値』と言います。

 

硫化水素の閾値は0.00041ppmです。

よって硫化水素濃度が薄くても強いにおいだなと人間は感じるわけです。

 

もちろん濃度によって人間の感覚も変わってくるんです。

薄い時はご飯のいい匂い。

濃くなってくると温泉のような匂いであったり、ゆで卵のような匂いになったりもします。

そして高濃度域に達すると匂いがしなくなるそうです。

人間の感覚というのは非常に不思議なものなんですよね。

妊娠中の女性は炊飯器から出るニオイがすごく駄目になるそうです。

 

工場で発生する硫化水素

産業工場でもあらゆる工程から硫化水素が発生します。

製鉄所、食品工場、排水処理設備と。

多くの場合、単独で排出されていることは少なく、

メチルメルカプタンなどのS系物質であったり、アルデヒド類を伴って発生しております。

 

硫化水素に特徴的なこととして、腐食性のガスであると言うこと。

つまり、ダクトや装置を錆びさせてしまいます。

同じ様なものとしては塩素なんかもそうですよね。

下水配管などでも多く硫化水素なんかが出ていて配管がサビサビになっているのは硫化水素のせいです。

 

水分があり、硫化水素が存在すると液滴化して硫酸が生成します。

これがSUSなどを腐食する原因です。

 

硫化水素を除去する対策方法について（工場の排出）

「じゃあこんな特性をもった臭気物質を、どのように除去すればいいのか」

についてお話をしていきたいと思います。

 

色んなところで排出される硫化水素ですが、この臭気物質を除去するにはいくつかの方法があります。

弊社で対応する場合の脱臭方法について、脱臭効果別に区分すると以下の通りです。

 

薬液洗浄法

硫化水素の除去方法の代表的な方法として、薬液洗浄法が挙げられます。

硫化水素だけを除去するには苛性ソーダだけでも充分です。

pHを9以上に保ってあげるだけでもそれなりに除去することが可能です。

 

もしこのような管理を行っても臭気レベルの低減が見られない場合は、

脱臭装置側の接触効率の問題が考えられます。

 

いくら効く薬剤でも、接触効率が悪ければ脱臭効果は得られません。

脱臭装置の効果＝ 接触効率 Ⅹ 消臭剤（薬剤）効果

というのが脱臭装置の選定や効果検証に用いられる考え方です。

 

臭気レベルの低減が上手くいかないケースとしては他に、

臭気物質が複合臭であり、苛性ソーダだけでは脱臭効果が発揮されない、というのがあります。

弊社がご相談を受ける工場対策においては、この原因によるトラブルがかなり多いです。

工場から排出されるニオイが「硫化水素だけ」なのか「複合臭」なのか。

脱臭対策や脱臭装置の選定をする前に、しっかりと見極める必要があります。

そうしないと、費やした時間や費用が全部無駄になってしまいかねません。

 

このような判断がつかない場合は、弊社の臭気アセスメントにご相談ください。

 

 

 

消臭剤（洗浄・スプレー）法

薬液洗浄法では装置が大きくなり、費用もかかって対策できない、という方は、

消臭剤マイクロゲルを使用する方法があります。

 

 

弊社には対象臭気に合わせた消臭剤ラインナップがあり、

硫化水素系臭気には消臭剤マイクロゲルC-PCL（現在は廃盤。後継型番はC-TK）が効果的です。

 

使用方法はスプレー装置方式がメインですが、イニシャルコストも安価であり、

装置設置スペースもさほど必要としないため、導入しやすい設備です。

一つの装置を設置するだけで数ラインの排気対策が可能です。

大手の石油プラントや食品工場でも続々と採用されている、新しいタイプの脱臭システムです。

 

最近は、他の脱臭設備を導入できないお客様や、

効果の少ない既設の脱臭装置のフォローとして導入いただくケースも多くあります。

 

他にも硫化水素用の脱臭装置はいくつかありますが、

臭気物質は事業所毎に大きく異なる場合が多いため、弊社コンサルタントにご相談ください。

 

 

 

 

「硫化水素」の排出に関連する参考ページを、以下にご案内いたします。