筆が快調に進む、相馬です。反動が来ないか心配です。

さて、今日も、前々回に引き続き、都内にあります

超高級賃貸マンションにて臭気調査を行いました。

今回の臭気というのは、住民もマンションを管理をしている方も

何の臭いか表現出来ないが

とにかく臭いから原因を見つけてくれとのお話でした。

実際に入室した瞬間

『あっ！これは、好気性バクテリアが有機物を分解したニオイだ！』と思いました。

しかし、ファーストインスピレーションだけで、臭気調査は出来ませんので

ニオイセンサーや臭気採取道具などを用いて

消去法で原因を潰していき、最終的に原因を導き出します。

原因はエアコンドレン板の勾配が取れておらず

死に水が出来て、バクテリアの温床になり、臭気が出ておりました。

実際に、空調機を外してニオイを嗅ぐと、そこの部分が猛烈に臭いました。

何のニオイか表現出来ない！

これは鍛えられている我々臭気判定士と一般人の決定的な違いです。

ぶっちゃけ言いますが、人間の嗅覚は、さほど個人差がないといわれております。

鍛えれば、ある程度感度は良くなりますが、そこまで顕著な差はありません。

嗅覚閾値でいうところの一桁（要は１０倍）低い濃度を

感知出来るようになるのが、限界でしょう。

しかし、我々臭気判定士と、一般人とでは決定的な差があります。

それは何か？

それは、識別能力と臭気物質の記憶。この２つに限ります。

ひとつずつ説明していきましょう。

まず、識別能力！

例えば函館朝一などの魚河岸で感じられる臭気。

普通は『魚くさい・生ぐさい』と表現しますが

我々は『ジメチルアミン・トリメチルアミン・アンモニア

若干ノルマル酪酸あり』と言います（もちろん心の中で）。

また、セルフスタンドでガソリンを注入している時に

給油口から漏れ出てくる臭いが僕は好きなのですが（軽油は嫌い）

その時、『あぁへプタン・オクタンのニオイは、病み付きになるなぁ』

と言います（もちろん心のなかで）。

このように、臭気の中に含まれている主要物質名を識別して

挙げることが出来るのが、我々のひとつの職人技です。

続いて、臭気物質の記憶！

臭気は目に見えません。

なので、人間は視覚で状況を確認し

嗅覚でニオイを嗅ぎ、脳みそに情報をインプットします。

例えば、お馴染みのコーラー！僕も大好きでよく飲みますが

コーラーが日本にやって来て、初めてこのニオイを嗅いだ人は

どんな表現をされたんでしょうか？

『サイダーのように甘いけど、何か薬みたいなニオイだ』とか

『消毒みたいなニオイがする』とか

おそらく、何と表現して良いかわからなかったと思います。

しかし、今は全国民のほとんどがコーラーと答えるはずです。

それは実際に視覚で確認し、嗅覚でニオイを嗅いだから。

脳みそに情報として記憶されているんです。

カルモアの臭気コンサルタントは

数多くの悪臭苦情を対策してきておりますので

この引き出しの量が半端じゃないほど多いのです。

やはり、最後は経験に限ります。

以上、説明しました通り、我々は識別能力と臭気物質の記憶が

人に比べて優れているのです。

その為、臭気調査で、原因をズバズバと見つけることが出来るのです。

しかし、このような力を持っている臭気判定士が日本に何名いるのでしょうか？

おそらく、１０名にも満たないと思います。

臭気は４０万種類あると言われておりますので

それだけ、難しい事なのですよ。