オフィスビルへカレー臭が侵入、解決策を得るための臭気侵入経路調査
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臭気成分
カレー店からの排気臭(カレー、スパイス臭)
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発生場所
東京都内のテナントビル/2階/オフィスフロア
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導入企業
デベロッパー、ビル管理会社
テナントビル・2階のオフィスフロアにおいて、ビル1階に入居するカレー店の排気臭が漂っている。脱臭対策を講じたいが、どこから流入しているかが不明で、1年間も解決できずにいる。
そんなご相談において、臭気調査によりニオイの侵入経路を特定し、適切な脱臭対策の導入により問題を解決しました。
都心部においては、特に建物が密に隣接するため、ニオイの苦情や侵入する臭気の対策依頼が非常に多くあります。
ニオイ問題を解決する場合、ニオイの排気主やビル・マンション管理会社などで脱臭装置を導入したり、排気方法を工夫したりしますが、「においがどのように流れているか、あるいは、流れてくるか」が明確にならないと、適切な脱臭対策とならず、脱臭できない、苦情が収まらない、などの失敗を招きます。
本事例においても、テナントビルのオフィスフロアに侵入してくるニオイの脱臭対策を講じるにあたって、まずはニオイの流れを調査し、適切な対策方法を立てる足掛かりとしました。
お客さまからのご相談内容
都心のテナントビルを管理されている管理会社様・ディベロッパー様からのご相談です。
テナントビルにおいて、1階に入居するカレー店の排気臭(カレー臭、スパイス臭)が、2階のオフィスフロアで常時ただよっており、オフィス入居している企業様から臭気苦情が発生してしまいました。
そこで管理会社様・ディベロッパー様は、苦情に対応すべく、脱臭対策を講じることにしました。
ところが、、、、
苦情発生から1年間ほどの歳月、関係会社の皆様で色々調べたり対策を講じたりされましたが、何を試しても改善することができません。
ニオイ対策を講じるにあたり、1階のカレー臭が2階のフロアにどのように侵入してきているのかが不明なため、どんな脱臭対策をしたら良いのかがわからないのです。
悩まれて、カルモアの臭気調査にご相談をいただいた、という経緯です。
カルモアでは、特許技術である「侵入経路調査」により、どこからにおいが入っているのか、ニオイが入ってくる原因は何なのか、を特定することにしました。
事例ポイント
- 同じビル内における、別フロアへの臭気流入
- 2階フロアには、常に臭気が漂っている
- 「ニオイの発生源」は明らかなのに、「ニオイの流れ(侵入ルート)」がわからない
- 1F排気口と2Fの給気口が離れており、「外気取込口からのニオイ侵入ではない」
- 2階への侵入原因がわからないため、適切な脱臭対策が講じられない
臭気調査/流入原因を調査する
臭気調査の概要・調査フロー
1階飲食店の臭気(空気)がどういう流れで2階に入り込んでいるかを調べるために【侵入経路調査】を実施しました。
この調査は、カルモアが取得する特許技術です。
「特殊な気体(トレースガス)」とトレースガスを感知する「高感度ガスセンサー」を用いて行います。
基本的な流れは以下の通りです。今回も、この流れに沿って調査を進めました。
侵入経路調査の流れ
①現場での状況(ニオイ拡散・苦情状況など)と平面図を確認
②臭気が発生している箇所にガスセンサーを設置
③1階カレー店内にトレースガスを噴霧、拡散
④各所のガスセンサーの反応を確認
⑤反応が確認された箇所を中心に携帯型ガスセンサーで流入源を探索
⑥ガスセンサーの結果と図面を照合
⑦調査結果のご報告と対策方法のご提案
今回は臭気の発生源となる場所が1階のカレー店と明確だったため、調査時にはカレー店内での作業が必須でした。
そのため、お店の営業時間後となる夜間に調査を実施いたいました。
調査を開始
本調査の重要ポイント:「外気取込口からの流入ではないこと」
今回、お客様を悩ましていた原因不明の最大の理由は、「外気取込口からの流入ではなかった」ことです。
1階の排気口と2階の給気口は離れており、通常よくある給気口からの臭気流入の可能性が非常に低い状況でした。
まず調査は、実際に臭気が問題となっている2階オフィス内で臭気を確認しながら、各フロアの平面図やダクト図を見てどんな経路で流入しうるかを検討することから開始。
外気取入口からの臭気流入の可能性が低いとはいえ、まずは給気口からダクトを経由しての流入が起こっていないのかを確認します。
次に、ダクト以外の場所で臭気が流入しうる箇所をピックアップし、各所にガスセンサーを設置、トレースガスを流してセンサー反応を確認していきます。
1か所ずつ、可能性のある個所をつぶしながら、臭気の流入箇所と原因を絞り込んでいきました。
調査結果:原因は意外な流入!
調査していくと、2階オフィスフロアの床下や外壁面にて、ガスセンサーに強い反応が現れました。
そこで、設置型のガスセンサーから携帯型のガスセンサーに切り替えて、さらに詳細に調査をしていきます。
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コンセントボックスからの流入を調査
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意匠壁の隙間も流入を調べます
携帯型センサーで、床下・壁をなぞるように反応確認していくと、、、
界壁部分や貫通孔から臭気が流れこんでいる「空気の流れ」を突き止めました!
さらに建物内の気流を調べたところ、1階より2階の方が負圧状態であることが判明。
つまり、1階から2階に空気を引き込む状態であるということです。
以上により調査結果としては、、、
1階カレー店の臭気は、
「ビル内気流(ビル内の空気の流れ)によって2階へ流入」
している可能性が強いとの結論を付けました。
お客さまによる脱臭対策
臭気調査の結果を踏まえ、管理会社様のもとで空調バランスを調整し、1階の空気が2階に流れこまないよう改善されたとのご報告をいただきました。
建物構造が原因の臭気問題は、解決方法が難しい傾向がありますが、臭気=空気と考えれば、給排気、空調圧のバランスという改善方法を検討することができます。
しかし建物内の空気の動きや気圧バランスは様々な要因で変動するため、具体的な対策方法やその効果のほどは実際に試してみるまで分かりません。
このようなトラブル案件においては、臭気調査のプロの私たちと、空調を管理されている設備会社様とのタックを組んだ対策チームによってやっと問題が解決できるということになるでしょう。
まとめ
1階の飲食店のニオイが2階のオフィスフロアに流入し、2回テナントから悪臭苦情が発生するという本件は、ニオイの「侵入経路調査」により原因を特定でき、脱臭対策の実施までたどり着けました。
今回のお客様は、テナント企業から悪臭苦情が発生し、1年間ほどの歳月に渡ってビル関係会社の皆様で色々調べたり対策を試行されましたが解決できないでいらっしゃいました。
カルモアの臭気調査により流入原因が特定されたことで、何を改善すれば良いかという解決の糸口が見つかり、無事にニオイ問題が解消されました。
臭気の流入が発生し、たとえ悪臭源が明確であったとしても、流入の理由がわからないために対策に踏み切れない、というケースは少なくありません。
まずは原因究明。
対策に乗り出すための最初の一歩として、臭気調査のご相談をください。
例えばセカンドオピニオンなど、どのような悩みでも、お気軽にお問い合わせいただけましたら幸いです。
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