樹脂パーツを製造する化学工場の臭気苦情を定点式ニオイセンサーで解決した事例
-
臭気成分
樹脂加工時の臭気
-
発生場所
機械立ち上げ時の排気臭
-
導入企業
化学工場
今回ご紹介するのは、化学工場における定点式ニオイセンサーの導入事例です。
本工場において近隣住民から悪臭苦情が発生したとのことで、臭気対策をする前にまずはニオイがどれくらい強いのか、どれくらい広がっているのかを確かめたいとご相談をいただきました。
そこで、当社の定点式ニオイ観測システム「LIMOS(リモス)」をご提案し、デモテストを実施させていただきました。
その結果、当初お客様が想定していた原因とは違う排気からも強い臭気が排出されていることが判明。
その後、悪臭苦情や悪臭排出の原因となる場所、成分、条件などを調査し、それを数値でミエル化する「臭気アセスメント」を実施し、最適な臭気対策をご提案させていただきました。
結果的に「LIMOS」を導入いただき、24時間リアルタイムでニオイを測定することで、苦情が出る前に悪臭の漏洩を防ぐことができるようになり、導入後は近隣からの悪臭苦情が出ないようにすることができました(臭気対策は今後の導入を見据えて検討中)。
ここでは、事例の詳細について説明していきます。
|
|
化学工場のお客様の課題と目的
今回ご依頼いただいたのは、主に樹脂製品のパーツを製造する化学工場。樹脂の塊を成形加工して、樹脂製品のパーツをつくる工程を行なっています。
敷地内には第1工場と第2工場があり、第2工場の近隣住民の方から悪臭苦情が届けられたとのことでした。
当初お客様の方では、第2工場の換気扇から出る排気が悪臭苦情の原因と考えており、これを対策する前にまずは詳しくニオイの詳細についてデータ化したいとのことで、当社にご相談をいただきました。
当社では、本工場で発生している悪臭の把握・管理を自動&無人で行うことができる「定点式ニオイ観測システム「LIMOS(リモス)」をご提案。お客様にも導入メリットを感じていただくことができ、まずはデモテストを実施させていただくことが決定しました。
化学工場様に「LIMOS」が選ばれた理由
工場の従業員がニオイに慣れてしまい客観的な判断ができないから
毎日同じ工場で働いている従業員の方は、ニオイに慣れてしまって、そのニオイが強いか弱いのかの判断が難しくなってしまうことがあります。
本工場においても同じような状況が発生していたため、客観的なデータによってニオイを把握したいとのご要望がありました。
本工場には、生産管理を行う担当者の方がいらっしゃいますが、工場に常駐しているわけではなく、テレワークの日もあるということでした。
LIMOSには親機と子機とでローカル通信を行う「無線通信版」と、モバイル通信にてWEBブラウザで管理を行う「クラウド版」の2種類の用意がありますが、今回「クラウド版」を導入していただくことで、担当者が工場にいない日でもニオイのチェックができるように。
この点も「LIMOS」を選んでいただく大きな理由になりました。
臭気対策をしっかり行なっていることを世間にアピールし会社のイメージを守りたいから
本工場は大手企業の子会社様によって運営されており、企業イメージを守ることは非常に重要な要素の1つでした。
悪臭苦情が発生したにも関わらず、対策をせずに放置しておくと、行政からの指導が入り、最悪の場合、営業停止、さらには罰金や懲役を課せられることもあります。
「LIMOS」によって24時間ニオイを監視・管理することは、周囲へ臭気対策にしっかりと力を入れているというアピールになり、企業イメージの向上にもつながります。
化学工場様へカルモアが行った対策
「LIMOS」のデモテストを実施
本工場においての臭気の変動を確かめるため、第1工場の中と外、第2工場の中と外、合計4か所で測定
中のセンサーは工場内の臭気をチェックするため、外のセンサーは近隣に臭気が拡散していないかどうかをチェックするためのものです。
1週間臭気を定点観測したところ、第2工場において朝の時間帯に臭気が強くなることがわかりました。
どうして朝の時間帯に臭気が強くなったのか。それは、工場の機械を立ち上げる時間帯だったことが関係していました。
機械の立ち上げ時には、熱を加える工程があり、温度が安定するまではニオイが強く出てしまい、さらに樹脂の他に色々な薬品を添加していくタイミングでもあったため、朝の時間帯にニオイが強くなってしまっていることが判明しました。
臭気アセスメントを実施
次に、「どこまで対策すれば苦情は無くなるのか?」「どの脱臭装置が最適なのか?」を確かめるために、臭気アセスメントを実施させていただきました。
まず臭気アセスメントにより、屋上にある排気口から周囲へ拡散されることで悪臭苦情が発生していることを特定しました。
臭気アセスメントの中で実施される、カルモア独自開発のニオイ拡散シミュレーションは装置導入前に苦情解決への目途を立てることで、過剰コストあるいは能力不足の装置を導入するリスクを回避することができます。
今回も臭気アセスメントの結果、最適な脱臭対策を導き出すことができ、お客様にもその結果を共有させていただきました。
化学工場の「LIMOS」導入後の効果
「LIMOS」導入によって悪臭苦情を事前に防げるように!
お客様にはデモテスト後の結果を共有させていただき、その結果正式に導入することが決定。
第1工場の中と外、第2工場の中と外、合計4台を設置させていただきました。
なお、お客様の方ではデモテストと臭気アセスメントの結果を受けて、悪臭苦情の原因となっていた工程を住宅と隣接する第2工場から第1工場へと移設。
さらに、今回設置されたニオイセンサーは、一定以上の強さになるとアラームが鳴るように設定したことにより、アラームが鳴った際に担当者が換気扇を止めることで、ニオイの拡散を防げるようになりました。
これにより、導入後は悪臭苦情が発生していないとのことで、大変お喜びいただくことができました。
また、今後は当社からご提案させていただいた臭気対策の導入を視野に、お客様との話し合いを続けています。
周辺に住宅地などがある工場の場合、工場から出る臭気がどれくらいの強さで、どこまで広がっているのかを把握しておくことは、苦情の防止や行政指導を避けるためにも非常に大切です。
臭気をデータ化する前に、大規模な臭気対策の装置を導入するという選択肢もありますが、高いコストがかかるだけでなく、多くの無駄が発生してしまうかもしれません。
自分の工場において本当に必要な対策を知るためにもまずは、定点式ニオイ観測システム「LIMOS」によって、実際にどれくらいの強さで、どのタイミングで発生しているかを把握することをおすすめします。
カルモアでは、その観測データをもとに、お客様にとって最適な臭気対策をご提案させていただきます。工場の臭気対策でお困りの方は、ぜひ当社までお気軽にお問い合わせください。日本全国対応で、海外もご相談に応じます。