汚泥乾燥機のガスで悪臭苦情!大規模コンビナート臭気対策!
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臭気成分
アンモニア、アセトアルデヒド系、硫化水素、プロピオン酸、ノルマル系、イソ吉草酸
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発生場所
汚泥乾燥機 コンビナート
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導入企業
コンビナート
今回ご紹介するのは、新型の注入式低温プラズマ脱臭装置による臭気対策事例。
ご依頼いただいたのは、複数の会社が共同出資してできたコンビナート。敷地内ではさまざまな工程が行われている大規模な工場です。
今回問題となっていたのは、汚泥を乾燥させる工程を行っている工場。汚泥を乾燥させる際に発生するガスが、近隣からの苦情の原因になっているのではないかと懸念され、当社にご相談をいただきました。
もともと、問題となっていた工程には他社の消臭剤がすでに導入されていましたが、必要な脱臭効果は得られていませんでした。そこで、カルモアでは排気ガス測定を行った後、新型低温プラズマ脱臭装置のデモテストの実施をご提案。
当初、ETO(触媒燃焼脱臭装置)の導入も考えられましたが、コスト面を考慮した結果、新型の注入式低温プラズマ脱臭装置がベストと判断。
デモテストの結果、注入式低温プラズマ脱臭装置と消臭剤を組み合わせることで、90%近くの脱臭効率を発揮できることがわかりました。
現在は、お客様の方で注入式低温プラズマ脱臭装置と消臭剤の導入を前向きにご検討いただいています。この記事では、その詳細についてご紹介していきます。
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コンビナート(汚泥乾燥工程)の課題と目的
ご依頼いただいたのは、敷地内に食品工場、化学工場、産廃工場などが入っている大規模なコンビナートを運営する企業様。
コンビナートがあるのは工業地帯ではありますが、近隣に住宅地もあり、悪臭苦情が発生してしまったとのことで当社に臭気対策のご相談をいただきました。
悪臭苦情の原因となっていたのは、コンビナートの中でも汚泥を乾燥させる工程を行っている工場。
汚泥を乾燥させる際に、アンモニア、アセトアルデヒド系、硫化水素、プロピオン酸、ノルマル系、イソ吉草酸などの成分が発生し、排気となって近隣に広がっていくことで、悪臭苦情を引き起こしていると考えられました。
すでに本工程には他社の消臭剤が導入されており、臭気対策は行われていましたが、発生臭気が複数あったため、必要な脱臭効果を発揮することができていませんでした。
お客様としては、なるべくコストを抑えて臭気対策を行い、悪臭苦情を解決したいというご要望があったため、当社ではまず臭気状況を把握するため臭気測定を行うことをご提案させていただきました。
汚泥乾燥工程へカルモアが行った対策
注入式低温プラズマ脱臭装置をご提案!
今回の排気に関しては排気臭気の性質上、触媒燃焼装置による対策も考えられましたが、なるべくコストを抑えたいというご要望があったため、新型の低温プラズマ脱臭装置をご提案させていただきました。
プラズマ脱臭装置自体は以前からある脱臭方式ですが、今回の「注入式低温プラズマ脱臭装置」は、排ガスに対して注入する方式のプラズマ脱臭装置です。
従来の「プラズマ脱臭装置」とは異なり、活性ガス(酸素イオンとOHラジカル)を発生させてニオイに注入することで、短時間(0.2〜0.4秒)で優れた脱臭効果を発揮することができます。
また、オイルミストや粉塵があっても臭気対策が可能。さらに、設置にかかる初期費用・性能維持の費用が安いのも大きな特徴です。
日本では新しい技術ですが、今回の臭気対策には最適な対策法だと考え、お客様にご提案させていただきました。
第三者機関によるガス測定を実施!
汚泥を乾燥させる工程においては、受け入れ原料等の種類により成分が異なる場合もあるので、事前にガス分析を実施し低温プラズマの有効性を検討しました。
その結果アルデヒド、硫黄化合物、低級脂肪酸類が含まれており、これらの物質が臭気として支配的であることから、低温プラズマ及び消臭剤が有効ではないかと推察しました。
測定結果は、以下の通りです。
注入式低温プラズマ脱臭装置+消臭剤でデモテストを実施!
次に、悪臭苦情の原因となっている実排気を使って、デモテストを実施。
新型低温プラズマ脱臭装置に加え、消臭剤をプラスすることで、より高い脱臭効率を発揮することができると想定し、注入式低温プラズマ脱臭装置+消臭剤の組み合わせた臭気対策をご提案させていただきました。
「消臭剤C-TKのみ」、「消臭剤C-TKと注入式低温プラズマ脱臭装置の組み合わせ」、「消臭剤S-B1のみ」、「消臭剤S-B1と注入式低温プラズマ脱臭装置の組み合わせ」、「注入式低温プラズマ脱臭装置のみ」の5パターンで、原臭に対しての脱臭効率を算出。
結果は以下の通りです。
消臭剤のみでは50〜70%近くの脱臭効率でしたが、2つを組み合わせたパターンではどちらも80%以上の脱臭効率を発揮することができました。
特に、「消臭剤S-B1と注入式低温プラズマ脱臭装置の組み合わせ」においては90%近くの脱臭効率を発揮することができたので、今回の臭気対策としてはじゅうぶんな数値で、悪臭苦情を解決するには最適な組み合わせであることがデモテストの結果明らかになりました。
ちなみに、今回のデモテストでは、消臭剤だけでもある程度の脱臭効率を発揮することができましたが、これまで既存対策として導入されていた消臭剤の脱臭効率が悪かったのは、排気と消臭剤の接触時間が短かかったのも原因のひとつとして考えられます。
各脱臭装置のランニングコストの目安
今回の事例記事で登場したETO、注入式低温プラズマ脱臭装置、消臭剤の3つの脱臭装置のランニングコストの目安は以下の通りです。
条件:風量50m3/min
稼働時間:8h/日、25日/月 12カ月/年・・・仮定
【ETO】
電気消費量:150kwh
150kwh×8h/日=1,200kwh
30円/kw=36,000円/日
900,000円/月、10,800,000円/年
【プラズマ】
電気消費量: 5KWh、稼働時間:8h/日、25日/月 12カ月/年
電気代:30円/kwh
電気代:360,000円/年
*メンテナンス、プレフィルター費:500,000円/年
*発生体交換:400,000円/回(2年に1回交換を想定)
【消臭剤】
消臭剤消費量:0.3kg/h、60kg/月、720kg/年
噴霧量:20cc/m3 稼働時間:8h/日、25日/月 12カ月/年
*消臭剤単価:2,500円/kg(貴社仕切価格)
1,800,000円/年
まとめ
今回のガス測定結果、そしてデモテストの結果は、データとともにお客様に共有させていただきました。高い脱臭効率を出せたことに非常に満足していただきました。
ただ、デモテストの際に、当社においてニオイ拡散シミュレーションも実施させていただいたところ、コンビナートの敷地面積が広かったため、問題となっていた臭気はそれほど遠くまでは拡散されていないこともわかったため、一旦は注入式低温プラズマ脱臭装置は導入はせず、様子を見ながら前向きにご検討いただいている状況です。
工場の近隣において悪臭苦情が発生してしまった場合、行政指導をはじめ、何も対策を講じない場合は工場の稼働停止など厳しい措置を受ける場合もあります。
そのため、まずは臭気の発生状況を正しく把握し、その上で必要な臭気対策を行っていくことが大切です。当社では、難しい条件の中でもお客様のご要望に合わせて、複数の選択肢の中から最適な解決策をご提案させていただきます。
今回のように、工場の悪臭苦情にお悩みの場合は、ぜひ一度当社までお気軽にご相談ください。日本全国対応で、海外もご相談に応じます。「空気」のご相談は、どんなことでもカルモアへお寄せください。