天ぷら屋の揚げ物臭対策
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臭気成分
フライヤーの排気
揚げ物料理の排気
厨房・調理排気臭 -
発生場所
テナントの飲食店厨房排気ライン
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導入企業
天ぷら屋(揚げ物料理)/テナント店舗
複合施設ビルに入居している天ぷら屋に、近隣住民から臭気苦情が発生!
天ぷら屋の設計施工会社から早急に臭気対策をしたいとのお問い合わせをいただきました。既にフィトンチッド系消臭剤による臭気対策を取られていた状況でのクレーム発生だった為、より確実で効果のある対策が求められました。
脱臭装置の導入では、脱臭能力だけでなく、その効果検証ができる当社臭気判定士の専門的知見も決め手となりました。
テナント店舗での対策の難しさ
「高性能・コンパクト形状・専門家による効果検証」の重要性
苦情対策を可能とする高性能な脱臭能力
天ぷら屋は、住宅エリアとオフィスエリアの近くに位置しており、近隣住民だけでなくオフィステナントからの悪臭苦情リスクも孕んだ環境化にありました。
おまけに臭質は、天ぷらの揚げ物調理排気という臭気レベルの高い臭質です。
さらに他社製香り付き消臭剤により臭気対策を実施していたにも関わらず発生した悪臭苦情で、より確実な脱臭能力が必要になります。
設置場所の厳しい制限を可能にするコンパクト形状
テナント店舗における脱臭装置導入で一番の課題は、装置を設置する場所が限られるということです。
既設物件の場合、排気ライン上や排気口エリアにおいて、設計段階で脱臭装置が組み込まれなかったためにスペースが無いケースなど、脱臭装置を設置するスペースの確保が課題になることが多くあります。
加えてテナント店舗の場合には、テナントエリア内で設置工事を完結しなければならないことが多く、設置場所の厳しい制限が条件となります。
今回は、設計段階から臭気対策を取られていたため、機械室に設置スペースがありましたが、他社製装置を前提としたスペース配分であった為、脱臭装置の設置スペースに制限がありました。
脱臭装置の効果を検証できる臭気判定士
飲食店を含む事業所は、悪臭防止法や条例などの規制を遵守しなくてはなりません。
ニオイは目に見えない為、施策した臭気苦情対策が本当に効果的かどうかを判断するには、ニオイの数値化が判断材料になります。
今回は、悪臭苦情発生後の課題だった為、確実な臭気苦情解決を求めたお客様の希望により、弊社臭気判定士にてニオイの数値化と脱臭装置導入後の効果検証を行いました。
事例ポイント
- 近隣住民からの悪臭苦情対応
- テナント店舗が住宅エリアやオフィスエリアと隣接
- 臭気の強い天ぷら【揚げ物】料理排気の対策
- テナント店舗の後付け設置という、設置スペース制限
- 臭気判定士による脱臭装置の効果検証
悪臭苦情対応で知っておきたいこと
香り付消臭剤と厨房排気用セラミックフィルター装置の違いとは?
悪臭苦情が発生してしまった天ぷら屋では、ニオイ対策を何もしていなかった訳ではありませんでした。建物竣工時より、ニオイ対策として香り付消臭剤を設置していたそうです。
しかし、まさかの住民による臭気苦情発生。「ニオイ対策」と一括りにいっても様々な方法があり、どのようなニオイ対策を実施するかは、原因となっているニオイの特徴・発生状況などに合わせ適切に選定する必要があります。
それでは、元々設置されていた香り付消臭剤と当社の厨房排気用セラミックフィルター装置の特徴にはどのような違いがあるのでしょうか?
香り付消臭剤とは?
消臭剤装置の特徴により「洗浄法」や「マスキング法」に分類されます。
薬液と臭気成分を接触させて化学反応によりにおいを除去したり、香りにより嗅覚感知を緩和させたりして消臭する方法です。
脱臭装置本体の大きさが比較的コンパクトで、安価に始められることから近年人気の高い脱臭装置のひとつですが、実は「マスキング法」は薄い臭気に有効とされている方法です。排気風量が小さく、臭気レベルも弱い場合は消臭効果が期待できるかもしれません。しかし、天ぷら屋などの臭気レベルの高い厨房排気臭の場合は、排気される臭気成分量に対して消臭剤噴霧量(消臭分子量)が圧倒的に少なく、化学原理的に十分な脱臭効果が期待できない可能性があるのです。
また、香り付け消臭剤(フィトンチッドなど)は、その消臭剤のにおいが近隣苦情の原因となるケースもあります。
厨房排気用セラミックフィルター装置とは?
「吸着法」に分類される脱臭方法です。
排気ダクトに設置したフィルターに、においを吸着させて消臭します。フィルター方式は、臭気成分との接触率が高く、小風量から大風量までの排気風量に対して、変わらず高い効果を発揮しますので、どんな飲食店の規模でも使用できます。その為、今回の天ぷら屋の厨房排気風量にも対応できました。
また、新たな配管工事・計装工事・電気工事の必要がなく、メンテナンス頻度が少ないという利点もありますが、フィルターメンテナンスは数年に1度必要となります。
当社の厨房排気用セラミックフィルター装置「ゼオガイア」は、2021年7月現在累計納入枚数26,000枚を超える信頼性の高い脱臭装置で、今回のように近隣から悪臭苦情が発生した既設設備へのリプレイス導入にも実績がある、確かな実力を有しています。
天ぷら屋に導入したセラミックフィルター脱臭装置【ゼオガイア】の性能
悪臭苦情を解決する為、私たちは「吸着法」である厨房排気用セラミックフィルター装置【ゼオガイア】を導入する事にしました。
ゼオガイアフィルターはセラミック無機繊維素材で、表面の細孔(微細で無数の穴)で臭気成分を吸着して排出ピークをカットし、さらにゆっくりと時間をかけて放出する(手放す)ことでロングライフを達成する、という特徴のある脱臭技術です。
この特殊セラミック素材は、吸着力が最大化されるよう、食品・調理系の臭気成分と相性の良い成分を複数種含有させ、厨房調理排気専用のセラミックフィルターとして開発されました。
天ぷら料理の他にも唐揚げ・焼肉・焼き鳥・中華・イタリアンなど様々な飲食排気での導入実績を有しており、天ぷら調理排気に対しても既に効果実績が多数あったことから、本件においても安心してご提案いたしました。
また不燃性素材であり、厨房排気ダクトに安心して導入可能です。(※脱臭フィルターとして認知度の高い活性炭フィルターは、可燃性であるため、厨房排気ダクトに用いることができません。)
悪臭苦情対策に必要なスペックは?
では、臭気レベルの高い「揚げ物調理排気」を対策するには、どの程度の脱臭装置スペックが必要でしょうか?
脱臭装置スペックの選定は、現場毎の排気風量、周辺環境、法規制などを考慮したものになります。
今回は、店舗が住宅エリアと距離が近い上に、住宅からの悪臭苦情を解決する為、確実な臭気対策が必要です。
このような悪臭苦情対策との闘いがある場合、最大フィルター装填数を導入することをお勧めします。最大フィルター装填数では、初期値最大98%の脱臭効率を発揮することも可能です。
≪厨房排気臭対策用ユニット≫
商品名 |
ゼオガイア脱臭装置ZG-6000 最大装填 |
最大装填排気風量 | 4,600m3/hr |
装置外寸 | 908W×904H×816L |
狭いスペースにも設置できるコンパクトさ
ゼオガイア脱臭装置は、ゼオガイアフィルターと、それを装填するケーシングユニットとで構成された非常にシンプルな作りです。
求める脱臭効果(脱臭効率)に合わせてフィルター枚数を調整し、装置のサイズを可変することができるのも利点です。
設置は、このケーシングユニットを排気ダクト上のどこかに組み込む、ということになります。
今回のケースでは、他社製消臭装置を設置していた機械室にゼオガイア脱臭装置一式を設置できましたが、他社装置を前提としたスペース配分であった為、設置スペースに制限がありました。
そこで、特殊仕様で縦型の脱臭装置を設計し、導入する事にしました。
≪狭所スペースの設置事例≫
導入後の臭気判定士による効果検証
✓ 天ぷらの揚げ物臭気を確実に脱臭できる能力
✓ 住宅エリアやオフィスエリアからの悪臭苦情も解決できる能力
これを叶える脱臭装置として、ゼオガイア脱臭装置を導入しました。
しかし、ニオイは目に見えないので、いくら高性能の脱臭装置を導入しても、その効果を客観的に判断するのは難しいものです。
悪臭苦情を受けてしまった店舗のテナントオーナーも施工設計担当者も「失敗できない」という強い不安を感じています。
そこで、今回はお客様の希望により、当社臭気判定士にて脱臭装置の効果検証を行いました。
効果検証では、天ぷら屋で一番強いニオイが排出される時間帯に導入した脱臭装置を通る前の空気と、脱臭装置を通った後の空気をサンプリングし、臭気濃度(臭気指数)から脱臭効率を算出します。
臭気濃度(臭気指数)は人間の鼻を用いてニオイを定量化し、その数値で基準を定める方法です。
複合ガスであるニオイを人の感覚の違いも加味して定量化する事ができるので、実際の影響度に近い評価を行う事ができる方法と言われています。
ではニオイ臭気濃度(臭気指数)はどうやって数値化するものなのでしょうか?
その答えは統計です。
統計処理を用いればバラツキのある感覚強度を補正し、一つの値として出力する事が可能であり、その統計処理された結果がニオイのものさしである臭気指数や臭気濃度となります。
効果検証として、臭気指数から臭気濃度を算出した結果、90%以上の高い脱臭効率が得られました。
脱臭装置の排気口でこの数値ならば、住宅エリアまでは臭気がさらに希釈され、臭気苦情は抑えられるでしょう。
≪脱臭効果の検証結果≫
脱臭装置前の空気 |
臭気濃度1000 |
脱臭装置後の空気 | 臭気濃度40 |
脱臭効率 | 96% |
まとめ
脱臭装置を導入した天ぷら屋では、無事に悪臭苦情が解決し、脱臭性能を維持する為に定期的なメンテナンスも実施しております。
一般的に、臭気対策において小規模店舗・個人経営飲食店では、脱臭装置の導入は高いハードルであることも事実です。
環境省では飲食店事業者向けのマニュアルを公開し、事業者の理解を求めると共に支援を行っていますので、そちらも是非参考ください。
ただ、悪臭防止法において臭気の規制値が定められており、事業主はこの基準値をクリアする必要があるのも事実です。
「悪臭苦情を受けてしまった」
「住宅地から近くて悪臭苦情を受けないようにしたい」
そのような場合は、脱臭の専門家カルモアへお問い合わせください。
ご参考ページ:
導入製品・サービスについて
コンパクトさ・性能の高さ・メンテナンスのしやすさを追求した厨房排気用フィルター。 厨房・料理臭専用に開発したセラミックフィルターは、日本にとどまらずアジア各国に導入されている実力を有しています。