オフィス喫煙室のタバコ臭の脱臭

喫煙室撤去後の脱臭作業の必要性

2020年4月より全面施工された健康増進法の一部改正に伴い、多くの建物において喫煙所の設置に制限が設けられています。

今回ご依頼いただいたオフィスビルも、法改正を契機にテナント入替工事のタイミングで喫煙室を撤去することとなり、撤去後のタバコ臭の残存が懸念事項に挙がりました。

元々ヤニの清掃、床面タイルの張替えは最低限として実施予定でしたが、それだけでは施工後に臭気が残存してしまう恐れがあります。

そこで壁材や天井内、躯体に染み込んだタバコ臭にも効果があるオゾン脱臭作業をご提案しました。

また、ビルのオーナー様が現場に立ち会えないため、作業後には脱臭の効果を確認できる資料の提出が求められました。

オフィス喫煙室 / 脱臭作業の流れ

今回の現場概要と脱臭作業のフローは以下の通りです。

【場所】オフィスビル内 / 喫煙室

【広さ】約10㎡

現地調査～御見積

まずは現地にお伺いし、タバコ臭がどの程度残存しているかを確認します。扉を開けて入室すると、喫煙者でも分かるくらいはっきりとしたタバコ臭が感知されました。しかし、しばらく室内に滞在すると鼻が慣れてほとんど感じられなくなったことから、それほど大掛かりな脱臭作業にはならないだろうと判断。お立会頂いた担当者の方も、まずは一安心して頂けたようでした。

臭気状況が分かったら、図面から容積を計算し、作業で使用するオゾン脱臭機の選定と作業日数を検討します。オゾン脱臭作業の作業日数および費用は、お部屋の容積と残存しているタバコ臭の強さにより決まるため、事前に現地にお伺いすることが非常に重要です。今回は床面積が10㎡ほどで、タバコ臭の残存程度を考えても比較的小規模であったことから、工期は3日間に決めました。

脱臭作業はテナント入替に伴う、原状回復工事の一工程として組み込まれます。その際、工程のどこに作業を組み込むかが非常に重要です。なぜなら脱臭作業中にタバコ臭が付着した部材が室内にあると、これが新たな臭気発生源となってしまうからです。そのため作業前にヤニの清掃や不要部材を撤去すること、加えて今回は喫煙室内に換気用の窓がなかったため、換気用のダクトのみ残したスケルトン状態のタイミングに脱臭工程を組みこむことを条件として、作業工程をご調整頂きました。

作業前測定～オゾン脱臭作業

作業前の臭気測定では、ニオイセンサーと臭気判定士の嗅覚により、タバコ臭の強度を数値化します。これは事前に測定を行っておくことで、元々残存していたタバコ臭がどれほどだったかを、後から数値で確認する事ができるようにするためです。空間に漂う臭気はもちろんですが、壁や床に染み込んだ臭気も鼻を近づけて確認し、オゾン脱臭機の設置位置などを最終調整します。

測定が終わりましたら、いよいよ脱臭作業です。無人の密室状態で一定時間オゾンを燻蒸します。最適な燻蒸時間は臭気の状況に合わせて変わるため、随時、臭気判定士が自身の嗅覚と経験から判断していきます。燻蒸時間が短すぎると脱臭効果が十分に得られませんし、長すぎると余計な副生成物が多量に生じて脱臭を阻害してしまうため、燻蒸時間の設定はプロの腕の見せ所です。

設定時間分の燻蒸が終わったら、換気によりオゾンと副生成物を追い出して、建材に残ったタバコ臭の放散を促します。しっかり換気を行うことで、建材に染み付いた臭気の放散を促進させ、オゾン燻蒸時の脱臭効率を向上させることで、施工後の臭気の再発防止につながるのです。また、建材の材質によってタバコ臭の落ちやすさに差が出ることから、特に臭気が取れにくい場所には、換気中に消臭剤を噴霧して対処しました。現場の状況に合わせて臨機応変に対応できるのも、臭気の専門家だからこそ。このような作業を、タバコ臭の落ち具合を確認しながら繰り返すことで、染み込んだ臭気まで徹底的に除去しました。

脱臭作業終了 ～ 報告書のご提出

作業後に再度、臭気測定を実施します。作業前は入室するだけではっきりと感知されていたタバコ臭ですが、作業後には壁などに鼻を近づけても感知されないほどまでに、臭気が低減されていました。

施工終了後には、作業前の値と作業後の値を比較明記した報告書をご提出。御立合い頂けなかったオーナー様も、報告書を読んで脱臭作業の効果を確認できたと安心して頂けました。

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